呼吸器内科
呼吸器内科

呼吸器内科で診療する病気は幅広く、一般的な風邪(かぜ)からインフルエンザなどの呼吸器感染症・喘息・気管支炎・肺炎・肺がん・慢性閉塞性肺疾患(COPD)など多岐にわたります。さらに肺自体には異常を認めない睡眠時無呼吸症候群や禁煙のサポートなども行っています。そのため症状も幅広く、咳や痰はもちろん、胸痛や呼吸苦・息切れ・胸痛・全身の倦怠感など様々な体調不良が診療対象となります。呼吸器疾患の初期症状は、風邪(かぜ)と変わらないことが多いですが、その背景には喘息や肺炎など、重篤な病気が潜んでいることもあります。咳や痰、発熱などが続く場合は、自己判断をせず、呼吸器内科の受診をお勧めします。
気道(気管支)の内側に慢性的な炎症が起き、粘膜が腫れることで痰がたまりやすくなったり空気の通り道が狭くなったり、呼吸がしにくくなる病気です。炎症は軽いときでも持続しており気道が敏感になっているため、わずかな刺激(ダニ・花粉・運動・冷気など)でも気管支が収縮して発作を起こしやすくなります(気道過敏性の亢進)。発作時には「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴(ぜんめい)が聞こえるのが特徴ですが、咳が多い・息苦しいだけで喘鳴が聞こえない場合もあります。子どもから大人まで発症し、小児喘息では男の子の方が女の子よりも患者数が多い傾向にあります。思春期以降になると、喘息の男女比は逆転し、女性の患者数が男性よりも多くなります。更年期以降の女性で悪化する場合は、特にエストロゲンの減少が喘息に影響を与えるとも考えられています。喘息と診断されても適切な治療を続けることで、発作を抑えながら日常生活をほとんど問題なく過ごすことが可能になります。
一方で、気道に慢性的に炎症が続く病気のため、症状が出ていない時でも気道は敏感な状態にあります。そのため、症状がない日でも治療や生活管理を継続することがとても大切です。
気管支喘息の原因は一つではなく、体質や生活環境、アレルギーや女性の場合はホルモンバランスなどさまざまな要因が関係しています。
アレルゲン(アレルギー物質)が原因となって発症する喘息のことです。喘息全体の約9割を占めるとされています。ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛、カビ、昆虫の死骸など、身近なアレルゲンが原因で気道に炎症が起きるタイプです。小児期から発症することが多く、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎を合併している方も少なくありません。
アレルギーとは関係ない要因が主な原因となります。感冒後や気温差、ストレス、過労、冷気、運動、たばこの煙、強いにおいなどが引き金になるタイプです。アレルギー検査で原因が見つからないことも多く、成人期以降に発症する場合もあります。
職場での物質への曝露が原因で発症します。大きく分けて二つのタイプがあります。
職場の抗原(アレルギー物質)に数ヶ月から数年接触することでアレルギーを獲得し発症するタイプです。
刺激性の物質を一度に多量に吸入したことが原因で発症するタイプで、数時間以内に喘息症状が現れ、数ヶ月間持続することもあります。
いずれも職場で吸い込む化学物質や粉じん、動物由来のたんぱく質、小麦粉などが原因となり、勤務中に症状が出やすいのが特徴です。喘息の治療を行うと同時に、悪化要因になる物質の暴露を避けるなどの対策も有効です。長期間放置すると慢性化するため、早期に発見し対応することが重要です。
特定の鎮痛薬(アスピリンや一部の解熱鎮痛薬)を服用すると症状が悪化するタイプで、鼻炎や鼻閉、嗅覚障害を伴うことが多く、鼻ポリープを合併しているケースもよく見られます。
喘息の症状は、発作時と非発作時で変わりますが、次のような特徴があります。一般的な喘息は、発作性・季節性に特徴的な症状の繰り返しが認められる・気道過敏性がある・検査で喘息の特徴的な所見が認められる、などの所見を総合的に判断して診断を行います。COVID19やインフルエンザなど強い炎症をおこす感染症の後に似たような症状が出現しても、たった1度の症状では喘息と決めつけないことが大切です。
気管支炎は、気管支という空気の通り道に炎症が起きて、咳や痰が出る病気です。気管から気管支にかけての広い範囲に炎症が起こった状態です。多くはいわゆる「かぜ」のような感染症のあとに起こり、ウイルス感染が原因で起こることが多いとされますが、細菌感染が原因となることもあります。子どもから大人までどの年代に見られます。気管支炎は大きく分けて「急性気管支炎」と「慢性気管支炎」があります。「急性気管支炎」は一時的な炎症で、1〜3週間ほどで自然に治ることが多い病気です。一方、「毎日のように痰が出る」という状態が長期間続く状態が「慢性気管支炎」で、気管支拡張症や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの病気に伴う症状として見られます。喫煙やアレルギーの関連があれば対応します。また、副鼻腔気管支症候群(Sinobronchial Syndrome: SBS)と呼ばれ、鼻の奥にある副鼻腔と、肺へ空気を運ぶ気管支の両方に慢性的な炎症が起きている「慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)と、気管支炎が同時に起こる状態」では、鼻炎の管理も治療上大切になります。
急性気管支炎の約9割はウイルス感染によるものです。代表的なのはライノウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルスなどです。これらのウイルスが気管支の粘膜に入り込み炎症を引き起こし、その結果として咳が長引くようになります。細菌感染による気管支炎もありますが、ウイルス感染が先行したのちの二次感染として起こることが多いです。また、喫煙、排気ガス、PM2.5、冷たい空気、アレルギー物質の吸入などの刺激も炎症を悪化させ、症状を長引かせる要因になります。急性気管支炎の治癒期間は、一般的に数日から3週間程度とされています。しかし、咳だけが長引くことも多く、完全に症状が治まるまでには個々の状況によって差があります。咳は気管に侵入しようとする異物や病原体を排除しようとする反射の一種ですから、鎮咳薬で無理に止めることは望ましくありません。咳止めも症状を緩和させることを目的に使用します。薬物治療に加え、咳が長引いてしまう悪化要因をなるべく避け、十分な栄養を摂り療養に専念することも大切です。治療と療養により早めに気道の炎症を改善させ、傷ついた気道粘膜を回復させると考えられています。
肺気腫は、肺の奥にある「肺胞(はいほう)」という小さな袋が破壊され、弾力性が失われて膨らみすぎてしまう病気です。これにより、肺の中に空気が溜まりやすくなり、酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなってしまいます。肺の弾力が失われることで呼吸がしにくくなり、進行すると少しの動作でも息切れを感じるようになります。
肺気腫の最大の原因は、長期間にわたる「喫煙」です。COPD(慢性閉塞性肺疾患)の90%以上は喫煙が原因と言われています。
長期間の喫煙によって肺の組織が破壊され、肺気腫が発生します。
喫煙者は非喫煙者に比べて肺気腫のリスクが2倍以上高いと言われています。
過去の喫煙歴がある方も、禁煙後に肺気腫になる可能性は十分にあります。
大気汚染や化学物質など、有害物質を吸い込むことで肺の組織が傷つくことがあります。
遺伝的要因:特定の遺伝的要因が肺気腫を発症するリスクを高めることがあります(ただし、第一の原因は喫煙です)。
幼少期の気管支炎や肺炎。喘息。
加齢:中年以降に発症することが多く、50歳以前に発症した若年性の場合は、α1-アンチトリプシン欠乏症という遺伝性疾患が関連していることもあります。
肺気腫は徐々に進行するため「年齢のせい」「運動不足」と見過ごされることがありますが、早期発見・早期治療が重要です。
肺胞が破壊され、空気が過剰にたまることで肺が黒っぽく写ります(肺野の透過性の亢進)。進行例では肺が膨らみすぎて横隔膜が下がって見える特徴があります。
肺胞の破壊や過膨張が評価でき、重要な役割を果たします。
病状の可視化:壊れた肺胞部分が黒い空洞として写し出され進行度が確認できます。
早期発見:胸部レントゲン写真ではわずかな肺気腫の変化や早期の病変は検出が難しいですが、CT検査では早期の気腫性病変の検出に有用です。
重症度評価:CT画像から肺気腫の病変が肺のどの部分にどれくらいの割合で広がっているかを評価し、重症度を診断できます。
肺がんの早期発見:肺気腫の患者さんは、肺がんを発症するリスクが高まることが研究で示されていますので、病状の進行を確認する際に時々はCT撮影で早期肺がんの有無を調べると良いでしょう。
息を吐き出す力(1秒率)が低下しているかを確認します。
※検査の項目に詳細に飛ぶようにしてください。
専門の医療機関で必要に応じ行います。
禁煙が最も重要で、進行を抑える唯一の方法です。
適度な運動や呼吸リハビリを継続して行うことも効果的です。感染の予防やバランスの良い食事で体調を整えることは重症化予防や合併症予防に大切です。
気管支拡張薬(吸入薬):呼吸を楽にします。
吸入ステロイド:炎症を抑えますので、併用療法として症状に応じ使用します。
酸素不足が強い患者さんには自宅で酸素吸入を行います。導入にあたっては、専門医療機関での診断や管理が必要です。
一度破壊されてしまった肺胞は元に戻らないため、外科的治療は、主に症状の管理と生活の質の向上、病気の進行抑制に焦点を当てて検討されます。肺容量減少手術や肺移植が検討されることがありますが、その適応は限定的で十分な検討が必要とされます。
「いびき」は睡眠時無呼吸症候群の重要なサインです。睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる悪影響は多岐にわたります。第一には、苦しい呼吸のために眠りが妨げられた結果、翌日の集中力や判断力の低下や眠気や倦怠感を生じる点。もうひとつは頻回に繰り返される酸素不足により健康状態が保てないほど身体にダメージを生じる点です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、寝ている間に一時的に呼吸が止まる疾患です。睡眠中、平均して1時間に5回以上起こり、それぞれ呼吸停止が10秒以上認められる場合には、この疾患の可能性があります。代表的な症状は“いびき”ですが、その他にも眠りが浅くなるため、日中に強い眠気や倦怠感を生じることがあります。放置すると、血管・心臓・脳に大きな負担がかかり、高血圧症や狭心症、心筋梗塞、脳卒中などを合併する、治療にも関わらず基礎疾患が改善しないこともあります。できるだけ早く診断し、治療をはじめることが大切です。
原因には鼻から喉頭(のどぼとけ)にかけての狭窄があります。狭くなった気道のすき間を空気が通ることで“いびき”が生じます。いびきの要因は、肥満による首や喉(のど)まわりの脂肪沈着、あごが十分発育していない小顎症(しょうがくしょう)、扁桃肥大、舌根(ぜっこん)・口蓋垂(こうがいすい)・軟口蓋(なんこうがい)による狭窄など、解剖学的なものがあります。また、加齢や睡眠時における呼吸の調節能力の低下など、機能的な要因も関連します。睡眠時無呼吸症候群は、男性は30~60代によくみられ、女性は更年期以降に多く、閉経によるホルモンバランスの変化も一因とされています。
いびきがひどい、呼吸が止まる・むせる、息苦しさを感じる、寝相が悪い、寝汗をよくかく、夜間頻尿がある(目が覚めるタイミングで尿意を感じる)。
頭が痛い、口が乾いている、いくら寝ても疲れがとれない、熟睡感がない、体が重く感じる。
強い眠気、だるさ・倦怠感、集中力の低下、記憶力の低下、いつも疲れている、居眠りで支障をきたす(自動車の運転で事故を起こしそうになるなど)。
検査はご自宅でできる簡易検査と、専門の医療機関に一泊して行う精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG検査)があります。簡易検査は検査機器がご自宅に届き、ご自身で簡単にセットできます。手指や鼻下にセンサーを装着し、睡眠中の呼吸などを調べます。一泊二日で行う精密検査(PSG検査)は脳波計や心電計などを用いて行う詳細な検査です。簡易検査でAHI(無呼吸低呼吸指数:睡眠1時間あたりの無呼吸や低呼吸の頻度を示す指標)が40回を超える場合は重症と診断され、CPAP(持続陽圧呼吸)装置による治療が検討されます。軽症度~中等度の診断と治療方針の決定にはPSG検査による精密検査を行って判断します。
治療にはCPAPなどの対症療法と手術療法があります。近年は、一定の条件を満たす場合に舌下神経刺激療法が保険診療の適応となりました。症状の程度や原因に応じて選択します。代表的な対症療法には、CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)とマウスピース療法があります。
CPAP療法は中等度から重症度の方に健康保険が適用されます。具体的には一般的に、PSG検査で無呼吸低呼吸指数(AHI)が20以上であること、または、簡易検査で無呼吸低呼吸指数(AHI)が40以上である場合に適応になります。基本的に治療用のマスクを毎晩使用して入眠します。呼吸停止をセンターが察知し、空気を送り込むことで気道を開存させて停止した呼吸を再開し治療します。睡眠中の無呼吸・いびきが減少し、眠気の改善や血圧を下げる効果も期待できます。現在は機器も小さく持ち運びにも便利になり、旅行や出張先でも治療を続ける事が出来ます。寝室に置いても違和感の少ないスタイリッシュなデザインも登場し加湿機能もありますので、続けやすくなっています。
マウスピース療法は主に軽症の方に用いられる治療法です。睡眠時にマウスピース(スリープスプリント)を装着し、下あごを前方に出すように固定することで、上気道を広く保ち、無呼吸やいびきの発生を防ぎます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の手術療法の一つです。手術の目的としては、睡眠中に気道が閉塞する原因となっている軟口蓋(口の奥の柔らかい部分)・口蓋垂(のどちんこ)・扁桃腺などの組織を切除・形成することで、気道を広げ、呼吸を楽にすることです。UPPPによる手術療法が根治に繋がらない場合もありますので、手術適応には慎重な検討が必要です。手術適応になるのは、主に閉塞型SASで、特に扁桃型(左右の扁桃が大きいことによって気道が狭くなっているタイプ)の患者さんです。ただし、舌が喉の奥に落ち込む「舌根型」の方には効果が期待できません。
CPAP療法や口腔内装置(マウスピース療法)といった他の治療法が効果不十分であったり、副作用や装着困難などの理由で継続できなかったりする場合に手術が検討されます。鼻疾患を有している場合は、マウスピースやCPAP療法で十分な効果が得られないことがあり、このような場合も手術が検討されます。ただし、手術療法で必ず根治するとは限りません。手術については、適応と術後の効果を慎重に検討する必要があります。肥満があれば減量による改善が期待できますが、やせ型の方でCPAP療法の継続が必要な方もいますので、減量だけで全て解決とも言い切れません。あごや顔の小ささや扁桃腺肥大など複数の要因が影響しているとされるためです。このほかに、口呼吸の予防・治療に有効な口腔筋機能療法や、寝る向きを矯正する体位療法などが有効なこともあります。
近年保険診療の適応となった新しい治療法です。パルスジェネレータという機器を鎖骨下に手術で埋め込みます。睡眠中の呼吸に同期して、気道の閉そくによる呼吸停止や低呼吸が発生すると微弱な電気の刺激で顎下にある舌下神経を刺激し、その結果舌が収縮し、舌を前に出すことでのどが広がり、空気の通りを改善します。
すべてのSAS患者さんに適応されるわけではなく、一般的に以下の条件を満たす方が対象となります。
また治療ができる医療機関も限られており、舌下神経刺激療法の適応については、専門医による詳細な検査と評価が必要です。当院では、いびきや日中の眠気などSAS(睡眠時無呼吸症候群)を疑う症状の方に、問診や診察を行ったのちに必要に応じて精密検査をお受けいただいています。結果により、直ちにCPAP療法に入る場合もありますし、専門医療機関に適時ご紹介もしております。症状にお困りの方は、いつでもお気軽にご相談下さい。
アレルギーは、体に入ってきた特定の物質(アレルゲン)に対して体が過剰に反応することで起こります。寒暖差アレルギーや化学物質に対するアレルギーでは、原因となる物質(アレルゲン)が特定できません。症状としては、花粉症でよくみられる鼻炎症状(鼻水やくしゃみ、鼻づまりなど)、眼の症状(目のかゆみや充血など)、喘息のような呼吸器症状、蕁麻疹や皮膚のかゆみなどです。症状の重い蕁麻疹など辛い症状にはまず点滴で治療を開始することも出来ます。アレルギー検査も血液検査で実施しています。慢性的な管理が必要な場合は、抗ヒスタミン薬などの飲み薬に加え、点鼻薬や点眼薬を追加して治療を続けることをお勧めしています。過労やストレス・不規則な生活は、症状を悪化させるため、改善できるところは取り組みましょう。2025年ノーベル生理学・医学賞を受賞された 大阪大学の坂口志文博士の研究では、「制御性T細胞(regulatory T cell)」が免疫システムのバランスを保つ上でとても大切な働きをしている事が示されています。腸内には、私たちの体の免疫細胞の約7割が存在すると言われており、この腸内環境とTレグは密接に関係し、腸活によってTレグの機能が高まることが期待されます。それによって、免疫の暴走をが抑えられる結果、アレルギー反応をコントロールするとされ、腸内環境を整えることは免疫の暴走を防ぐことにつながると予測されます。アレルギー症状を緩和させるためにも、日々のバランスの取れた食事は大切と考えられています。特に食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌が増えることで短鎖脂肪酸という物質が作られます。この短鎖脂肪酸、特に酪酸は、Tレグの誘導を促進し、その機能を高めることが研究で明らかになっています。ただし、食物繊維ばかりが増えてしまうと、お腹が張ってかえって便秘や腹痛が悪化する場合があります。食事の食物繊維を増やした場合は、発酵食品とオリゴ糖も併せてバランスよく摂ることが大切です。
アレルゲン免疫療法は、アレルゲン※1を低濃度からすこしずつ体内に取り込み、徐々に濃度を上げていき、慣れさせることで体質改善を目指す治療法です。薬物治療(対症療法)とは異なり、根本的にアレルギーを治療する方法として注目されています。従来から注射による皮下免疫療法が行われていましたが、アナフィラキシー※2などの副反応、頻回な通院、そして毎回注射の痛みも伴います。このような皮下免疫療法の負担を軽減した治療法が、舌の下に治療薬を投与する舌下免疫療法です。これにより、ご自宅での服薬で免疫療法が行えるようになりました。アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)は1980年代に海外で開始された治療法で、日本では2014年にスギ花粉症で初めて保険適用となり、翌年の2015年には、ダニを原因とする通年性アレルギー性鼻炎も保険適用となりました。
スギ花粉症・ダニアレルギーに対する舌下免疫療法の対象となるのは、以下の条件を満たす方です。奏効率はおおよそ8割、治療期間は最短でも3年です。
スギ花粉症やダニアレルギーと確定診断されている(血液検査など)。
5歳以上65歳未満の方が主な対象ですが、具体的な年齢制限は医療機関によって異なる場合があります。
症状緩和だけでなく、体質改善を希望する方。一方で、治療ができない場合もあります。具体的には、免疫機能が低下している方、重篤な気管支喘息やアナフィラキシーの既往のある方、心臓病、口内炎がある場合や抜歯など歯科治療を予定している方、妊娠している方や妊娠を希望されている方などです。アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)は長期的な視点が必要な治療ですが、根本的な体質改善が期待できるため、長年花粉症に悩まされている方には大変有効な選択肢と言えるでしょう。
咳(せき)は、体内に侵入した細菌やウイルス、異物を排出するための重要な防御反応です。通常であれば風邪や気道感染による咳は1〜2週間程度で軽快することが多いですが、数日で落ち着かずに長引く場合には注意が必要です。医学的には、3週間以上続く咳は「遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)」と呼ばれ、さらに8週間以上続く場合には「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」と分類されます。長引く咳は単なる風邪の後遺症だけでなく、気管支炎や喘息、アレルギー、逆流性食道炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などが背景にある場合もあり、放置すると生活の質を大きく損なう可能性があります。
単なる風邪の後に咳が続くこともありますが、それだけでなく気管支炎、喘息、アレルギー(後鼻漏・副鼻腔炎を含む)、逆流性食道炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、結核・非結核性抗酸菌症、心不全、薬剤(ACE阻害薬など)、さらには肺がんなど、重大な病気が隠れていることもあります。例えば、喘息は夜間や早朝に悪化しやすく、後鼻漏では喉の違和感や痰のからみが続きます。逆流性食道炎では食後や就寝時に咳が出やすく、COPDでは喫煙歴を背景に息切れや痰が目立ちます。体重減少や血痰、胸痛を伴う場合は肺がんなどの可能性も考慮が必要です。こうした手がかりをふまえ、胸部X線やCT、呼吸機能検査、喀痰検査(細菌・抗酸菌)、アレルギー検査、胃食道逆流の評価などを組み合わせて、適切に原因を特定することが重要です。
咳が長引くことで夜眠れなくなったり、体力が落ちたり、集中力が下がるなど、生活の質が大きく低下することも少なくありません。日常生活に支障をきたすだけでなく、仕事や学業への影響、周囲との会話や外出の制限といった社会生活上の不便にもつながります。さらに放置すると病気の進行や合併症を招く場合があるため、「たかが咳」と軽く考えず、長く続くときには早めに医療機関を受診することが大切です。
呼気NO濃度測定検査とは、呼気中のNO(一酸化窒素)の濃度を測定する検査です。喘息患者さんの気道には炎症があり、炎症性刺激により気道上皮のNO合成酵素が誘導され、大量のNOが産生されています。そのため呼気中NO濃度を測定することで好酸球性気道炎症の存在や程度を知ることができるとされています。検査は6秒以上息を吹き込むだけです。測定開始から結果表示まで数分で完了します。風邪をひいた後は、せきだけが治らずに続くケースがありますが、安易に喘息と診断は行いません。喘息への移行が懸念されるような繰り返す方につきましては、専門医療機関での総合的な診断を受けるようにお勧めしており、連携を取ってご紹介しております。
TOP