消化器内科
消化器内科

消化器内科は、食道・胃・十二指腸・大腸などの消化管および肝臓や胆のう・膵臓などを幅広く専門的に診療します。腹痛・胃痛・胃もたれ・げっぷ・胸焼け・食欲低下・下痢・便秘など、ご心配な消化器症状について診療を進めて参ります。その時々の体調や季節・食事内容により、お腹の具合は変わります。また、持病に対し内服している薬や、多忙や冷えなどの環境要因からでも症状は様々に影響を受けます。問診と診察に加え、採血やレントゲン検査・腹部超音波検査を行っていきます。内視鏡検査は連携している医療機関へご紹介しております。検査の結果、過敏性腸症候群と言われた場合は、まずは日常でお困りの一番辛い症状をやわらげるよう解決を目指します。
強い酸性の胃液(胃酸)が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症が生じる病気です。胃酸が増えすぎてしまったり、胃酸の逆流を防ぐ機能がうまく働かなかったりすることで起こります。またお腹が膨らむ炭酸飲料の摂取、便秘の持続、刺激物や脂っこい食事の摂取も逆流症状を悪化させます。胃酸逆流が起こると食道内のPH変化が生じる酸刺激が生じるとされ、のどの不快感・酸っぱいと感じる症状(呑酸)や咳・胃痛・心窩部痛が出たりします。
まずは逆流症状を悪化させるような生活習慣を改善し、便秘がある場合はコントロールを目指します。それでも症状が辛い場合は、胃酸の刺激症状を緩和する内服薬により治療を行います。ヘリコバクター・ピロリ菌感染の有無が不明な場合はH2ブロッカー(ファモチジンなど)を使用し、ヘリコバクター・ピロリ菌未感染の場合や除菌が確認されている状態では、PPI(プロトンポンプ阻害薬)やP-CAB(一般名:ボノプラザン)を使用して胃酸を減らす治療をします。症状に併せて、胃炎や便秘薬を組み合わせます。
食物を分解する働きをもつ胃酸や消化酵素が、胃や十二指腸の壁を傷つけてしまうことによって起こります。胃粘膜がピロリ菌に感染することが主な原因として知られていますが、薬剤やストレスなどでも発症します。症状としてはみぞおちや背中の痛み・吐き気・食欲不振・胃の張りなどで、食事で悪化または改善するなど食事に関係のある症状の場合はこの疾患を疑います。また消化管出血を起こした場合、便が真っ黒になることがあります(タール便)。症状があるときは、排便の際に便の色を確認しておくことも大切です。
機能性ディスペプシア(FD)とは内視鏡検査などで調べても、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんといった器質的な異常がないにもかかわらず、胃痛(みぞおちの痛み)や胃もたれ・胃の膨満感などの症状が慢性的に起こる病気です。頻度が高い疾患で、慢性的に辛い症状が続き、特に食事を始めると腹部膨満感や満腹感・胃痛が悪化し、食事が進まず体重が減る・食後の悪心が辛く食事が楽しめないなどの症状から、生活の質(QOL)が著しく低下します。効果的な治療薬がいくつかあり内服によりQOLの回復も期待できますので、症状が続いている方は我慢せずにお早めにご相談下さい。
女性の胃腸の調子はいつも一定ではなく、特に閉経前の場合は月経周期のホルモンの変化によってお腹の症状が変わり、内服するお薬の調整が必要になることがあります。これは、月経がはじまってくる時期からの学生さんにも同様にみとめられます。 男性医師には相談しにくい細かい症状も、お気軽にご相談下さい。小さなことでも体調で気になる点がありましたら伝えて頂けますと、診療を進めて行く上で大変参考になります。
急性胃炎は、様々な原因で胃の粘膜に炎症を起こす病気で、急激に発症します。主な原因としては痛み止め(非ステロイド性解熱鎮痛薬)などの薬剤によるもの、食べすぎや飲みすぎによるもの・アルコールの過剰摂取や喫煙によるものや、成人のピロリ菌初感染による急性発症なども考えられます。生魚を摂取した後の胃アニサキス症も食後しばらくして痛みを生じ、急性の胃炎症状を起こします。
慢性胃炎は、胃炎が慢性的に持続して続く状態です。ピロリ菌の持続感染による萎縮性胃炎は多く、除菌完了後も萎縮胃粘膜が残存するため胃がもたれるなどの症状が続きます。その他、鉄剤や漢方薬に含まれる地黄や当帰などの生薬の内服など薬剤の影響で症状が出る場合、自己免疫性胃炎やピロリ菌以外の細菌などが原因となることもあります。
ピロリ菌は正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。らせん状の細菌で、鞭毛(べんもう)と呼ばれる糸状の突起があり、経口感染によって胃の粘膜に棲みつくと考えられています。鞭毛(べんもう)の形態や動きから、らせん状を意味する「ヘリコ」がつけられました。ヘリコプターの語源と同じです。胃には強い酸(胃酸)があるため通常、細菌は生息できないと考えられていました。しかし、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を分泌し、周囲にアルカリ性のアンモニアを作り出すことで胃酸を中和しながら生存しています。オーストラリアの研究者により発見・培養され、胃炎・胃潰瘍の原因とされました。この発見により研究者は2005年にノーベル賞を受賞しています。胃酸の分泌が弱い5歳以下の幼児期に感染する可能性が高く、ピロリ菌を持っている親や家族から食べ物の口移し、食器の共有などによって感染する事が多いとされていますが詳細は不明な点もあります。
ピロリ菌は、一度感染すると除菌しない限り胃の中に棲みつづけます。感染していても自覚症状のないケースもありますが、慢性的に胃の内壁に炎症を起こし胃粘膜の萎縮を生じさせ胃を守っている粘液を減少させるとされます。胃粘膜の萎縮により、胃粘膜を保護する粘液の分泌が低下し胃酸の影響を受けやすくなることで、胃炎や消化性潰瘍を発症しやすくなると考えられます。また、長期間におよび胃粘膜の萎縮(粘膜が薄くなる)が進むことで、胃がんの発生リスクが高まることが懸念されます。ピロリ菌の除菌治療によって、これらの症状やリスクを防ぐとともに、次世代への感染が防げます。慢性的な胃炎や胃潰瘍を繰り返すなどの症状がある方や、ご家族に胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんを発症された方がいる場合は、ピロリ菌の感染も疑い、胃がんリスク検診(ABC検診)や内視鏡検査などを受けると良いでしょう。ヘリコバクター感染性疾患(胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃炎)に対する除菌治療、呼気試験によるヘリコバクター感染の判定も院内で受けられます。
胃がんリスク検診(ABC検診)とは、ピロリ菌感染の有無を調べるヘリコバクター・ピロリ抗体検査と、慢性胃炎が引き起こす胃粘膜の萎縮を調べるペプシノゲン検査の2つを組み合わせて、胃がんになりやすいかどうかを危険度別にA・B・C・D群に分類するものです。A<B<C<Dの順に、将来胃がんになる危険性が高くなっていきます。採血で受けられるため、内視鏡検査を受けるよりも健診時などに気軽に受けられます。保険適応外です。
ピロリ菌が感染していない状態で、また胃粘膜の萎縮も起こってない健康的な胃の方です。
A群の方は胃がんになる危険性がほとんどない「超低リスク群」だと言えます。原則として内視鏡(胃カメラ)による精密検査の対象にはなりません。ピロリ菌の感染が減っている若い世代では、A群に分類される方が多くなっています。ただし、A群の中にも実はピロリ菌がいる人(ピロリ菌が感染していても抗体の上がり方が少ない「かくれピロリ」)や、非常にまれとは言えピロリ菌に関係しない胃がんが発生することもあります。胃の何らかの症状がある方や胃がんの家族歴がある方は、A群と判定されていても一度は内視鏡検査を受けることを考慮してください。一方で、胃がんになる危険性がある方(B、C群)や危険性がとても高い方(D群)は、内視鏡による精密検査が必須です。さらに、ピロリ菌がいる場合には除菌治療を受けることがとても大切になります。ピロリ菌の除菌治療を健康保険で行う際には、事前に胃カメラを受ける必要があります。
ピロリ菌が感染している状態ですが、慢性胃炎による胃粘膜の萎縮はまだそれほど起こっていない方です。胃がんが発生する危険性はやや高いため、除菌を開始するためにも内視鏡検査による精密検査を受けましょう。ヘリコバクターピロリ胃炎や胃潰瘍・十二指腸解消が確認され、ウレアーゼテストなどでピロリ菌の感染が確認された場合は除菌し、2〜3年の間隔で定期的に内視鏡検査(胃カメラ)を受けましょう。
ピロリ菌が感染しており、すでに慢性胃炎による胃粘膜の萎縮が進んでいる方です。胃がんが発生する危険性は高いとされます。B群と同様に、内視鏡検査を受け胃粘膜の状態を確認し、ピロリ菌を除菌した上で、できれば1年に一度の内視鏡検査(胃カメラ)を受けましょう。万が一胃がんが見つかれば、胃がんの治療を優先します。
ピロリ菌の感染による胃粘膜の萎縮がかなり進んだ結果、ピロリ菌が胃に住めなくなってしまった方です。つまり、ピロリ菌の抗体が陰性という結果でも、もともと感染していないわけではないのです。胃がんの危険性が最も高いとされます。抗体の値が低くてもまだピロリ菌が残っている可能性もあるため、別の方法でピロリ菌の有無を調べ、必要なら除菌治療を受けましょう。毎年胃の内視鏡検査(胃カメラ)を受けることが推奨されます。
一般の腸の検査(大腸造影検査・内視鏡検査・便検査など)をしてみても、炎症や潰瘍、内分泌異常などが認められないにも関わらず、慢性的に腹部の膨満感や腹痛を起こしたり、下痢や便秘などの便通異常を来たしたりする疾患です。思春期以降に徐々に増え、比較的多くの方が悩んでいる疾患で、消化器内科を受診する人の約3分の1を占めるともいわれています。その発症原因から治療方別に、ストレスにより症状が悪化するタイプ・消化管の形態異常の関与が疑われるタイプ・食後の胆汁分泌に過剰反応するタイプに分類され治療方針が決定される場合もあります。生命に関わる病気ではありませんが、お腹の痛み・下痢・便秘・腹部症状に対する不安などで、通勤・通学などに支障をきたすなど広く影響のある疾患です。それぞれの症状に応じて治療薬があります。また、
「急性虫垂炎」は10~20歳代に起こることが最も多く乳幼児や高齢者では比較的稀とされる一方で、「虫垂穿孔(炎症が起き腸が破れる事)」は乳幼児と高齢者で多く死亡率の上昇が指摘されています。思春期から25歳ころまでは男性が3:2と多いとされます。
原因は虫垂内腔の閉そくが多いとされ、糞石(食物繊維の周囲に便が集積濃縮され形成されたもの)が最も一般的な原因です。その他、感染症や濃縮されたバリウム、寄生虫や腫瘍(カルチノイドや癌)が原因になる場合もあります。腹部不快感と食欲不振に続発する関連症状は特徴的とされますが、初めから右下腹部痛があるわけではありません。最初は臍周囲や心窩部(みぞおち)の痛みがあり、通常は4~6時間持続します。激痛でないこともあり我慢強い方ですと自覚の乏しい場合もあります。炎症が進み腹膜に及ぶと片側性の限局した右下腹部痛が出現し、発熱を伴ったりお腹が痛くて身体が伸ばせない状態になったりします。一般的には38.3℃を超える高熱になった場合は穿孔を疑いますが、発症から24時間以内は稀とされます。食欲不振はかなりの頻度で伴います。その他、嘔気・嘔吐を伴う場合がありますが、便通や排便習慣は変化がほとんどないとされ診断的価値は乏しいとされます。典型的にはMcBurney点(前腸骨稜と臍を結んだ直線の外側3分の1の位置)に圧痛が認められますが、虫垂の位置によって痛みの部位は異なり、特に妊娠期間中は上腹部に移動することもあります。当院では腹部診察や血液検査、必要に応じて画像検査などを行い、急性虫垂炎が否定できない急性炎症所見が認められた場合は、すみやかに連携医療機関へ精査・治療を依頼いたします。右下腹部痛が認められても、憩室炎や腸炎・卵巣卵管などの付属器炎・子宮外妊娠など鑑別が必要な疾患は多くあり、確定診断のためには腹部超音波検査よりも単純CTや造影CTの方が優れていると報告されています。乳幼児や高齢者・妊婦ではさまざまな典型的ではない経過をたどることもありますので、慎重に総合的な判断が必要になります。急性虫垂炎は“変装上手masquerader”と呼ばれることもあり、単なる胃腸炎や胃炎として見過ごさない事が大切です。
治療は病状や炎症の程度によって、抗菌薬による点滴治療だけで経過を見る場合と、虫垂を切除する手術治療が選択される場合があります。手術や病状によって変わりますが、多くは入院後から手術までの経過と翌日以降の数日は禁食になる場合が多いです。禁食によって腸を休ませ炎症が広がらないようにするためです。右下腹部の痛みが続く、食欲低下や熱や吐き気を伴う場合には、まずはご相談ください。多くの基幹病院は、予約外や緊急での受診は午前中が受付時間となっています。午後や夜間の時間帯になると、受け入れ先の医療機関が限定されてきますので、体調がすぐれない場合は午前中の早めの時間にご受診頂けますようお勧めしています。
「腸閉塞」は腸の中を内容物やガスがうまく通れなくなり詰まってしまった状態を指します。「急性腸閉塞」の75%は過去に受けた腹部手術による癒着や内ヘルニアや外ヘルニア、腫瘍、腸のねじれや重なり、腸の内側の狭窄など、さまざまな原因で起こります。進行して完全に閉そくしてしまと、腹痛が限局的になり疝痛は伴わず、「腸閉塞」の診断が遅れる場合があります。嘔吐は殆どの場合に認められ、治療が遅れると腸の血流が悪くなり、腸が壊死して穿孔や重い腹膜炎を起こす危険があります。似たような病態に「麻痺性イレウス」と「原発性腸管偽閉そく症」があり、鑑別が必要です。腹部膨満はいずれにも認められる症状ですが、診断には、丁寧な問診の後に、まずおなかの診察(視診・聴診・視診)を行います。聴診では疝痛(“キリキリ”や“キュー”と表現される差し込むような、波を打つ激しい痛み)に一致して、高調で大きな腸雑音が聞こえる事があります。さらに、腹部レントゲンやCT検査を組み合わせて総合的に診断する事が必要になりますが、クリニックではまず腹部レントゲン撮影を行い、「腸閉塞」が疑われた場合は、CT検査が可能な総合病院へすみやかに精査を依頼します。血液検査では、“血清アミラーゼ値の上昇”がある事が多く、強い炎症所見が出現している場合は“絞扼”を疑いますが、“白血球数”が正常でも“絞扼”を否定できるわけではありません。「腸閉塞」の治療においては、まず絶食が必要になり、その場合は点滴による循環動態の管理が行われます。消化液は食事をしなくても分泌され閉そく部分に向かって流れていきますので、消化管の安静と腸内の減圧を目的に、胃管・イレウス管が留意されるなどの保存的治療を行いますが、改善が乏しい場合や絞扼が疑われる場合には手術が検討されます。突然の強い腹痛とおなかの張りや持続する腹痛や疝痛、吐き気や嘔吐が続き、便やガスが全く出ない場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
腹痛は軽い症状に見えても、「虫垂炎」や「腸閉塞」など、早期対応が必要な病気のサインになっていることがあります。当院では、問診・診察を丁寧に行い、入院や手術が必要と判断される場合には、連携医療機関へ精密検査をすみやかに依頼します。特に院内の迅速検査で、白血球数の増加やCRP(C反応性タンパク:C-reactive protein)値の上昇など急性炎症所見が認められた場合は、当日すぐに連携医療機関へ受診して頂くように対応しています。“いつもと違う腹痛”や“我慢しても良くならない腹痛”などを感じたときは、様子を見ずに早めにご相談ください。
消化管機能には副交感神経が深く関与しています。副交感神経が優位になると、胃腸の血流や蠕動運動、消化液の分泌が高まり、消化・吸収が進みやすい状態になり消化器機能は良好に保たれます。逆に強いストレスや緊張が続くと交感神経が優位になり、体は“戦闘”モードに傾き、消化器機能を保つ副交感神経の働きは抑制されてしまいます。この状態では、血流が筋肉などに優先され、胃腸では蠕動運動や消化液分泌が抑えられ消化機能は低下し、食欲不振や胃もたれ、便通の乱れなどにつながりやすくなります。普段から過労は避け、体調不良時は休養を優先するようにしましょう。さらに次のような点に気をつけると、消化機能が良好に保たれおなかのトラブルを減らせる可能性があります。
当院では、腹部症状(腹部膨満・腹痛・胃痛・便秘・下痢・過敏性腸症候群など)のご相談について、処方とともに生活習慣や食事・飲酒・運動などの体調管理も併せて総合的に診療を進めて参ります。お腹の症状でお困りの時は、お気軽にご相談下さい。
下血は、消化管からの出血が肛門から出てくる状態を指します。
特に、胃や十二指腸など上の方からの出血では、消化管から出血した血液が胃酸と反応し黒い便になることが多く(タール便)、これも下血に含まれます。一方、便に赤い血液が混ざったり、便に付着したりして見える状態、赤い血が便やトイレットペーパーについた場合、肛門からぽたぽた血がでる、などは「血便」と呼ばれ、大腸や肛門近くからの出血が多いです。排便時は時々、便の色や形を確認しましょう。いつもより便が“黒い”や“赤い”場合は、「どこかで出血が起きているかもしれない」サインです。痛みがなくても受診して医療機関で原因を確認することが大切です。
一方で、少量の血が時々付く程度の下血でも、「痔」と自己判断せずに受診しましょう。下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)は必ずしも毎年受診する必要はありませんが、時々は検査を受けて大腸や肛門の状態を確認しておくと安心です。特に「大腸がん」や「大腸ポリープ」を患った家族や親族がいる、40歳以降で一度も下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を受けたことがない、普段と便通の状態が違ってきた場合などは早めの受診をお勧めしています。
「大腸ポリープ」とは大腸(結腸と直腸)にできたポリープ(隆起した粘膜の上の変化)のことを指します。大きく分けて腫瘍性の“腺腫”と、非腫瘍性の“過形成ポリープ”があります。いずれも小さなうちは症状がなく、内視鏡検査で偶然見つかったり、便潜血検査で陽性になった場合の検査で見つかったりします。小さなポリープは、“腺腫”か“過形成ポリープ”かのどちらのタイプかを内視鏡検査の当日確実に見分るのは難しく、切除して病理組織診断(顕微鏡で細胞の構造を確認する検査)を行い初めて“腺腫”か“過形成ポリープ”かの確定診断が付きます。「大腸ポリープ」の中の腫瘍性のポリープである“腺腫”の一部は、時間とともに大きくなり、「大腸がん」のもとになるとされます。そのため、あまり大きくないポリープの段階で内視鏡検査時に切除すると良いと、将来発生する「大腸がん」の予防に役立つとされます。下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)は、事前の準備が大変、検査が苦しいなどの理由でなるべく受けたくない検査ではありますが、実は精密検査も治療も予防も出来る大変良い検査です。当院では下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)は実施していませんが、連携先のいくつかの医療機関にご本人様とご相談して適時ご紹介しています。
「大腸がん」は、結腸や直腸など“大腸の内側の粘膜”にできるがんです。日本では患者数は増加傾向で、男女合わせると最も患者数が多いがんとされます。「大腸がん」はできる場所によって、「盲腸がん」、「上行結腸がん」、「横行結腸がん」、「下行結腸がん」、「S状結腸がん」、「直腸がん」などと呼び分けられます。「大腸がん」は大腸の粘膜にできた“良性のポリープ(腺腫)”の一部が、時間とともに少しずつ大きくなり、がんに変化する部分が出てくると考えられており、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を受け「大腸ポリープ」の段階で見つけて切除することが、「大腸がん」予防にとても重要とされます。「早期の大腸がん」は、ほとんど症状が出ませんが、進行してくると、血便、便に血が混じる、便秘と下痢をくり返す、便が細くなる、便が残っている感じ(残便感)、おなかの張りや腹痛、貧血、体重減少、しこりを触れるなどの症状が出る事があります。また、「大腸がん」が大きくなり、腸の中をふさいで詰まってしまうと排便が困難になり、進行すると腸閉塞を起こしてしまいます。
検診や人間ドックの便潜血検査では、見た目に明らかな血液の付着が無くても“便潜血陽性”となり、結果が「要精密検査」となる場合があります。“便潜血陽性”の場合に全例に「大腸ポリープ」や「大腸がん」が見つかるわけではありませんが、その確認も含め「痔」があるから…などと自己判断したり放置したりせず、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)をきちんと受けることが大切です。
当院では、がん検診以上(便潜血反応陽性)・下血・血便のご相談に対して、まず詳しい問診と診察を行います。
「恥ずかしい」「痔かもしれないから様子を見よう」「おしりからの検査は嫌」と受診をためらう気持ちもあるかもしれませんが、症状が続く場合や一度も下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を受けていない場合の自己判断は、大きな病気の見落としにつながる危険性があります。下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)は、半日がかりの大変な検査ではありますが、精密検査と同時にもしも見つかった場合に「大腸ポリープ(特に腺腫)」を切除することで、早い段階での治療と将来の「大腸がん」の発生リスクを減らす予防も出来る大変重要で有用な検査です。当院では下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)は実施していませんが、気になる出血があった場合は、便の色や量、いつから続いているかなどをメモしていただき、お早めにご相談ください。治療を進めながら、連携医療機関へ精密検査のご紹介も行っております。
バリウム検査の所見については、まずが健診結果の用紙や画像データをを丁寧に確認します。経過観察で良い場合と内視鏡検査が急がれる場合があります。精密検査が必要な場合は、連携医療機関ですぐに受けられるように迅速に手続きを行います。精密検査の結果、ヘリコバクターピロリ菌の除菌が必要な場合は、当院で治療とその後の除菌判定を行っていますので、お気軽にご相談下さい。
「胆石」は、肝臓でつくられた胆汁が通る「胆のう」などに結石ができる病気です。「胆石」は異常な胆汁酸組成により形成され、コレステロール結石が全体の80%以上を占めます。胆汁中のリン脂質および胆汁酸に対しコレステロールが過剰である場合、コレステロール結晶が析出し「結石」を形成してしまいます、何らかの症状が出ると「胆石症」です。
多くは胆のうの中にできますが、「胆管」の中にあるものは「胆管結石」とされます。成人の約10%が胆石を有するとされます。症状がないまま経過することもありますが、20%程度で症状が出ることがあり、石が詰まったり炎症を起こしたりすると、右上腹部や胃痛のような心窩部痛(みぞおちの痛み)・背中や右肩への放散痛・吐き気・食欲低下・発熱など様々な症状を引き起こします。胆のうに炎症が起こった状態が「胆のう炎」です。急に症状が出て、発熱のある場合、脂っこい食事(脂肪食)を摂取した後に悪化した場合などに「急性胆のう炎」を疑います。
診察時に、右肋骨の下部分(右季肋部)を圧迫すると深呼吸時に痛くて呼吸が止まる症状“マーフィー徴候”があれば、「急性胆のう炎」を疑いますが、感度は50~60%・特異度は79~96%とされ、“マーフィー徴候”がない場合もあります。「急性胆のう炎」は放置すると重症化し、入院や手術が必要になることもあるため、急な症状で「急性胆のう炎」が疑われた場合は食事を摂るのを止め、早めに受診することが重要です。「急性胆のう炎」の5~10%は結石を確認できない場合があり、「無石胆のう炎」とされ、胆のう胆管内の「胆泥」が原因と考えられるものや、その他の血管炎・感染症などが原因になることがあり、原因疾患の鑑別や経過観察が必要になります。
一方で「慢性胆のう炎」は、胆石や胆泥(泥状の柔らかい貯留物)・胆砂(砂状の細かい胆石)が長い間胆のう内にあることで、慢性的に胆のう内に炎症が起きている状態です。胆のう壁が持続的に機械的刺激を受け発症するとされます。合併症として、亜急性あるいは急性胆のう炎の反復や、胆のう壁が萎縮してしまう状態などがあります。「胆のう穿孔」は前駆症状なしに起こるとされます。その他、「胆のう水症」「陶器様胆のう」などがあります。「慢性胆のう炎」は痛みもなく持続しますが、胆のうが萎縮し結石・胆砂胆泥の充満により内腔の確認が難しくなった場合、「胆のう癌」の早期発見の遅れにつながる危険性のあることから、胆のうの状態によっては精密検査や外科的手術が検討される場合があります。「慢性胆のう炎」のある人が全員「胆のう癌」になるわけではありませんが、症状が無くても定期的に経過観察を受ける事はとても大切です。当院では年1回程度の腹部超音波検査をお勧めしています。
当院では、問診と診察に加え、血液検査や腹部超音波検査などを用いて、胆石の有無や炎症の程度を丁寧に評価します。特に「急性胆のう炎」を疑う症状は、「急性虫垂炎」の初期や「急性膵炎」「急性胃炎」「胃アニサキス症」などの他の消化器疾患との鑑別も必要になりますので、院内でその場ですぐに確認できる採血による迅速検査で白血球数やCRP(C反応性蛋白)の値を確認し、治療方針を決定します。より高度な治療や精密検査が必要と判断された場合は、関東中央病院や東京医療センター・東邦大学医療センター大橋病院・慈恵医科大学付属第三病院など近隣の連携医療機関へご紹介する体制を整えています。
急な痛みが強い場合や炎症が疑われる場合には、重症度を判断したうえで、入院治療や手術が必要なケースは速やかに高次医療機関へご紹介し、連携して治療にあたります。一方で、症状のない胆石や軽症の胆のう炎では、定期的な診察や超音波検査で経過確認を致します。再発や悪化を防ぎながら、精査が必要なタイミングでは適正に連携医療機関に受診できるようご紹介を致します。
「胆のうポリープ」は、胆のうの内側にできる限局性の隆起のことで、多くは検診や人間ドックの腹部超音波検査で偶然見つかります。成人の「胆のうポリープ」の有病率は5%程度とされています。コレステロールポリープが多くほとんどは良性で、胆石を伴う場合もあります。中には腫瘍性ポリープや胆のう癌が含まれることもあり、特に大きさが1センチを超えるものや、短い期間で急に大きくなる傾向のあるものは注意が必要です。そのような場合は短期での経過観察や連携病院での精密検査をお受けいただきます。
「胆のう腺筋症」は胆のう上皮の良性増殖で、胆のう内腔が狭くなったり(内腔狭窄)胆のう底部が結節様に隆起したりする形態が特徴です。良性病変で、がんに移行する前段階ではありません。しかし「胆のう腺筋症」の内部に「胆のう癌」が見つかったとの報告は一定数あり、特に“分節型”と呼ばれる一部では関連を示唆する報告もあります。「胆のう腺筋症」には“底部型”・“びまん型”・“分節型”があり、“分節型”は胆のうの中央付近の壁の変化により胆のうがくびれて“ひょうたん”のように見える形の物を指します。中央辺りの壁肥厚により、くびれた先の底部側(胆のうの丸みを帯びた底の方)で胆汁が滞りやすく、胆泥や胆石がたまりやすくなるとされます。
このように臨床的に気を付けなければならない大切なことは、「胆のう腺筋症」の一部に「胆のう癌」が隠れているか分からない状態で、胆のうの内腔や胆のう壁の構造が明瞭に腹部超音波で確認できない場合は、腹部CT検査や腹部MRCP検査(Magnetic Resonance CholangioPancreatography:MR胆管膵管撮像)、超音波内視鏡検査が必要になります。その場合は専門設備が必要になりますので、基幹病院での精密検査となり、必要に応じ連携医療機関へご紹介いたします。
胆のうの壁にできる悪性腫瘍が「胆のう癌」、胆汁の通り道である胆管にできる悪性腫瘍が「胆管癌」で、両者を含めて「胆道癌」と呼びます。いずれも早期には自覚症状が出にくく、進行すると黄疸や腹痛、体重減少などで見つかることが多いとされています。「胆のうがん」の早期病変がポリープ状の隆起として確認される場合は「胆のうポリープ」に似ていますので、慎重に鑑別が必要になります。「胆石」や「先天性胆道拡張症」などの先天的な胆管の異常などがリスクの一つとされる報告もあります。
成人で遭遇する先天異常では、「先天性胆道拡張症」があります。検診などで偶然見つかり症状が無い場合も多いとされますが、“繰り返す上腹部痛、背部痛”、“黄疸や発熱を伴う胆管炎の症状”、“急性膵炎”、“胆管結石や胆のう結石の合併”がある場合は、精密検査や治療は必要になります。「膵・胆管合流異常」を伴う事が多く、膵液が胆管内に逆流しやすくなることで、胆道の壁への慢性的な刺激により炎症が生じることが要因の一つとされます。“胆道がんのリスクが高い”との報告もあり、成人で「先天性胆道拡張症」と診断された場合では、必ず定期的な経過観察を受けるようにお勧めしています。
「胆道ジスキネジア」は胆石症や胆のう炎に似た症状が出ますが、胆のうや胆管、乳頭括約筋など胆道の運動機能がうまく働かず、器質的異常がほとんどないのに症状が出る「胆道運動異常症」の一つです。症状があるにもかかわらず、検査をしても「胆石」や「胆のう癌」、「胆のう炎」などはっきりした器質的疾患が無く、炎症がないことがこの疾患を疑う前提となります。発作時に一過性の肝胆道系酵素やアミラーゼ・リパーゼ軽度上昇を伴うことがあります。
検診で「胆石」や「胆砂・胆泥」、「胆のう炎」を指定された場合や、“食後の心窩部痛(みぞおちの痛み)”や“右側腹部痛”や“背部痛”など症状がある場合は、まずお気軽にご相談下さい。まず相談できる身近な窓口でありたいと考えています。今までご受診されて検診の結果や、過去の採血結果なども踏まえて、必要な検査や経過観察を適切に行って参ります。昨今の物価高や医療費高騰の問題もありますので、無駄のない検査と受診される方のご負担がなるべく少ない管理を心がけています。専門的な画像検査や手術治療が可能な医療機関へのご紹介は、慎重に経過を見ながら必要に応じ、ご本人様と相談しながら進めて参ります。
「胆石」の中でも最も多い「コレステロール胆石」が生じる原因は主に(1)胆汁内のコレステロールの過飽和、(2)コレステロール水和物の核形成とそれに続く結晶形成・結石の成長、(3)胆のう運動機能の異常による胆汁の排出遅延およびうっ滞、とされています。それに関与する重要な因子として遺伝的背景に加え、食事などを含む生活習慣の乱れ(肥満・メタボリックシンドローム・脂肪食・極端な体重減少や低カロリー食)も指摘されていますので、生活習慣全般についても確認しながら改善につながるような内科診療を行います。管理栄養士による栄養指導をお受けいただくことも出来ます。他に、妊娠・出産などによる女性ホルモンの変動や、加齢(コレステロールの胆汁内への分泌増加・胆汁酸プールの減少・胆汁酸塩の分泌低下のため)、脊髄損傷や糖尿病など疾患の関与などが発生リスクとされています。体調の変化があった時や基礎疾患の管理で必要な際には、腹部超音波検査や胆管系の酵素を含む採血検査なども適時行うようにして参ります。腹部超音波は10時間程度の空腹の後にお受けいただくようにお勧めしています。日程についてはクリニックまでおたずね下さい。
「脂肪肝」は、過剰な飲酒が原因で肝臓に脂肪がたまった「アルコール性肝障害(Alcoholic liver disease, ALD)」の他に、飲酒量が多くない方でも見られる「脂肪肝」があります。
従来NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患:飲酒量が一定以下の方で見られる脂肪肝)、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎:脂肪がたまった結果、炎症や肝細胞の傷みが進んだ脂肪肝)、NAFL(単純性脂肪肝:脂肪はたまっているものの、炎症や強い線維化が強くない脂肪肝)に分類されていましたが、2023年に「脂肪性肝疾患の新しい総称」としてMASLD(Metabolic dysfunction-associated Steatotic Liver Disease:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)が導入されました。
「MASLD」とされる「脂肪肝」は自覚症状で見つかることはあまりありません。健康診断や人間ドックでの腹部緒音波検査や血液検査で「脂肪肝」や「肝機能異常」を指摘されて、はじめて見つかることがほとんどです。炎症や線維化が進んで「MASH」や「肝硬変」に近づいて肝機能が低下してくると、強い疲労感や食欲低下、体重減少や腹部膨満感、足のむくみ、皮膚や白目の黄ばみ(黄疸)、意識がぼんやりする(肝性脳症)などの全身症状が認められるとされます。症状が出るほど進んでから見つかると、肝臓の線維化は正常には戻らず治療が難しくなります。そのため、症状のある早い段階で発見と管理が非常に大切です。
当院では採血検査や検診結果をもとに、腹部超音波検査を行い症状が無い場合の早期診断も積極的に行っています。
「脂肪肝・MASLD」は、症状がない段階でも少しずつ進行し、放置すると「肝硬変」や「肝がん」になることが分かっています。そのため、多くの場合、症状がなくても「脂肪肝・MASLD」の無い状態をめざす治療は必要です。「脂肪肝・MASLD」そのものを直接改善する薬は限られているとされ、そのため重要で効果があるのは生活習慣の改善です。体重減少と代謝リスクの改善を目指します。BMIが25をこえる肥満がある場合は、減量は治療の基本とされます。食生活習慣の改善は、やみくもに摂取カロリーを少なくするだけではなく、「脂肪肝・MASLD」になりやすい食品を避ける食事内容を実践することが効果的です。具体的には、三つの“あ”が頭文字につく食品、つまり(1)あまい物(=甘くなくても加工した糖質・炭水化物)と(2)あげ物、(3)アルコール、を取りすぎないようにしましょう。また、原因となる肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧などの代謝異常を整えることも大切です。特に体重(内臓脂肪)と中性脂肪・高血糖(インスリン抵抗性)は「脂肪肝・MASLD」の悪化要因になっているため、直ちに改善に取り組みましょう。「脂肪肝・MASLD」の診断基準でも、代謝異常の一つとして“中性脂肪150mg/dL以上”が採用されており「脂肪肝・MASLD」の管理の上でも特に厳格な管理が推奨されます。減量に伴い食事・運動により中性脂肪が改善し、肝脂肪と肝機能も改善するとされます。
食生活習慣では、野菜や魚・オリーブ油・ナッツなどを中心とした“地中海食”型の食事が推奨されます。また、砂糖・飽和脂肪酸・糖分入り飲料などや超加工品は摂りすぎない方が良いでしょう。超加工品とは原材料が粉末や濃縮物など素材がほとんど残らず加工されてしまっているものなどを指します。飲酒習慣のある場合は、なるべくアルコールを控えるようにしましょう。飲酒量は少なければ少ない方が良いとされ、脂肪の蓄積や炎症、線維化の進行を抑えられる可能性があると報告されています。日々多忙な現代人がまとまった時間を運動に充てるのは現実的には大変です。日常生活の中でこまめに体を動かすことでも運動として有効とされています。日頃の仕事や家事などで疲れがある時や体調不良の際は、無理な運動はせずに休養を優先しましょう。
「脂肪肝・MASLD」の方は、糖尿病や脂質異常症、高血圧、動脈硬化性疾患のリスクが高いことも知られており、これらの疾患の治療において必要な時に薬剤治療を行います。外来では、腹部エコー検査を行い「肝硬変」や「肝がん」など合併症の発生がないか確認を行っていきます。また、血液検査から計算する“FIB-4 index” などのスコアで肝臓の“線維化肝臓が硬くなっていないか”を評価し、治療および経過観察に役立てて参ります。食生活習慣の改善は薬剤治療よりも優先して取り組むべき大切な治療の柱です。単に“食べる量を減らす”や“摂取カロリーを少なくする”だけでなく、食事の内容を確認しながら、野菜や魚・キノコ・良質な油とタンパク質増やし、“低GI食”を活用した食事に切り替えるなど、自炊しなくても続けやすい方法を一緒に考えます。“GI値”はグリセミック・インデックスといい、食品を食べた後に血糖値がどれくらい上がりやすいかを示す指標です。ブドウ糖を100としたときの相対的な値で表され、精白米は100に近い“高GI食”とされます。GI値が低いほど血糖の上がり方がおだやかになり“高インスリン血症”になりにくく、太りにくいとされます。
ご希望の場合は、土曜日に実施している管理栄養士による栄養指導もご利用頂けます。運動習慣については、特別なジム通いや運動プログラムではなく、移動時のスピードアップや階段の利用、家でも出来る“レジスタンス運動”など毎日の生活の中でも無理なく続けやすい運動を、それぞれの体調や生活スタイルに考慮しながら提案いたします。“健診で脂肪肝と言われたけれど、症状がないためそのままにしている”、“血糖値や中性脂肪が高いと言われた”や“最近、おなかまわりや体重増加が気になってきた”、健康診断の結果で「脂肪肝」「肝機能異常」や中性脂肪値が高い、血糖値が高めなどの所見があった方は、一度受診していただくことをおすすめします。早めの生活習慣の見直しや必要に応じた治療を開始することで、将来の深刻な肝臓のダメージや生活習慣病の悪化リスクの低下が期待できます。
肝機能障害とは、肝臓の細胞がダメージを受け、血液検査で肝臓の働きを示す数値に異常がみられる状態をいいます。
ST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GTPなどが上昇して指摘されるが多く、初期には自覚症状がほとんどありません。肝機能障害の原因としては、「脂肪肝・MASLD」、「ウイルス性肝炎(B型・C型)」、アルコールの過剰摂取、薬やサプリメントによる「薬剤性肝障害」、「自己免疫性肝炎」、「胆石」や胆道の病気などさまざまなものがあります。特にALTは「アラニンアミノトランスフェラーゼ」という酵素で、以前はGPTと呼ばれており、主に肝臓に多く含まれているため、肝臓そのもののダメージや炎症の時に特に上がり、「肝臓の元気さ」を見る代表的な数値です。ASTよりALTの方が高い場合は、肝細胞そのものの障害が強く疑われます。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、進行するまで症状が出にくい臓器です。職場での健康診断や検診、自治体で受けられる特定健康診査では肝機能の指標の項目が必ず含まれますので、機会があれば定期的に受けるようにしましょう。また、新たに治療薬が開始された場合に、肝機能障害が発生することがあり、これを一般に「薬物性肝障害」と呼びます。薬だけでなく、一部のサプリメントや健康食品、漢方薬などでも起こることがあります。自覚症状がない場合がほとんどですが、まれに黄疸や強いだるさなど、重い肝障害に進むこともあります。継続的に治療薬やサプリメントを内服する場合は、必要に応じて定期的に血液検査を行いながら安全性を確認することも必要となります。薬やサプリメントが肝機能障害の原因として疑われる場合は、いったん休薬をして経過観察を行います。必要な治療薬は肝代謝が主では無い薬剤に変更を検討します。
「慢性肝炎」とは、肝臓の炎症や壊死が少なくても6か月以上慢性的に続いている状態です。主な原因はB型肝ウイルスやC型肝炎ウイルスなど持続感染が原因となった「ウイルス性肝炎」の他、「自己免疫性肝炎」、「脂肪肝・MASLD」による「脂肪肝炎」、アルコールや薬剤・サプリメントなどが関与して発症している場合があります。初期の慢性肝炎では、自覚症状がほとんどないことが多く、健康診断や献血時などでAST(GOT)、ALT(GPT)といった肝機能検査の異常を指摘されて見つかるケースが多くみられます。軽症の場合は非進行性または緩徐に進行するのみとされますが、一方で炎症が長く続くと肝臓が徐々に硬くなり、何年もかけて「肝硬変」や「肝臓がん」へ進行していくことがあるとされます。重篤な「肝不全」に至ると生命維持が困難となるため、早い段階に発見して対応することがとても大切です。
お勤め先の健康診断や他院での人間ドックでAST・ALT・γ-GTPなどの肝機能異常を指摘された方のご相談もお受けしています。まずはお持ち頂いた結果を確認し、必要な検査を行います。具体的には採血による肝機能検査、ウイルス検査、自己抗体検査などです。また、未受診の場合は腹部エコー検査による肝臓の状態確認を行います。「脂肪肝・MASLD」による「慢性肝炎」の場合は、食事・運動療法の指導、禁酒など生活習慣の指導など、日常生活の中で気をつけるポイントや、続けやすい取組みについてご本人様のライフスタイルに併せ丁寧にお話しします。「慢性肝炎」は、一般的に軽症の場合や急激な悪化が無い場合は経過観察が可能です。一方で、原因がB型・C型肝炎の感染によるもの場合は、抗ウイルス治療の導入と継続管理が必要になりますので、連携医療機関へご紹介いたします。また、「自己免疫性肝炎」などでステロイド治療などの導入を専門医と相談した方がよい場合、急激に進行性に悪化する場合などは、より専門的な検査や入院治療が必要な連携している基幹病院や専門医療機関をご紹介します。通院は当院、入院や高度な検査・治療は専門病院といった形で、患者さんにとって負担が少なく、安心できる医療連携体制を一緒に整えていきます。
膵臓は、胃の後ろ側にある長さ約15センチほどの細長い臓器です。食べ物を消化する消化液をつくり、小腸に送り出す働きと、血糖値を調整するホルモンを分泌する働きがあります。膵臓に炎症が起こる病気が「膵炎」です。膵炎には大きく分けて急に強い炎症が起こる「急性膵炎」と、炎症が長く続く「慢性膵炎」、手術の後などに起こる「術後膵炎」があります。
「急性膵炎」は、消化酵素の膵内活性化により膵臓が“自己消化”を生じる急性炎症です。上腹部痛がある場合は、胃や食道の病気の他に「急性膵炎」を疑う必要があります。男女比は2:1で男性に多く、現時点では増加傾向とされます。
主な原因はアルコール性が最も多く、次に胆石性が多いとされています。一方で原因が特定できない特発性も16%程度認められます。男性では40~50代でアルコールに関連したものが多く、女性では60歳以上で胆石性が多いとされます。その他の要因として、膵腫瘍によるもの、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)後、脂質異常症、遺伝性・家族性、膵管非融合、薬剤性などもあります。
「急性膵炎」は次の(1)~(3)のうち、2項目を満たし、他の疾患を除外された場合に診断基準を満たします。
急激に発症して悪化する胃痛・腹痛が特徴的で、背部痛(背中の痛み)、吐き気や嘔吐・食欲の低下を伴うことが多いとされます。症状が持続して良くならない場合に強く疑います。重症化すると全身状態の悪化をきたします。呼吸困難やショック症状・意識障害が伴うようなら救急車を依頼します。炎症が広がると腹膜炎になりますので、強い腹痛や消化管運動の低下からひどくお腹が張るなどの症状も出現します。「急性膵炎」が否定できないような症状の持続と悪化がありましたら、様子をみることなくすぐに受診して下さい。
「急性膵炎」は基本的に入院による治療が行われます。初期に軽症でも数日経過して重症化することもあります。特に発症3日目までは重症化へ移行しないか注意が必要です。経過は重症度によって大きく異なり、入院した後に原因検索と重症度判定を行います。軽症であれば数日間の絶食と点滴など対症療法、安静で回復することが多いとされています。一方で、重症の場合は致命率が上昇しますので集中治療室(ICU)での管理が必要になります。血圧を保ち、膵臓や他の臓器に必要な血流を確保し循環動態を維持するため、発症早期から適切な量の点滴を行います。血圧が低い場合は昇圧薬を用います。また、呼吸状態が悪いときは酸素投与や人工呼吸器を使用し、必要に応じて腎臓の機能を補う透析治療なども行います。腹膜炎のような強い腹痛に対しては、点滴を用いた持続投与による鎮痛薬を使い、疼痛管理を行います。実際の症例集積では、重症急性膵炎患者の平均入院期間が約70日前後と報告されているデータもあり、合併症が多い症例ほど入院が長期化する傾向があります。感染や呼吸不全、腎不全などの重い合併症を伴う場合には、2か月以上の長期入院になることもあるとされます。
「慢性膵炎」は、膵臓に炎症が長く続く状態の事です。「慢性膵炎」の原因として多いのは次のようなものです。
特にアルコールは大きな原因となりますので、「慢性膵炎」と診断された方は禁酒に取り組みましょう。
長く続く痛み・体重減少・消化不良が主な症状とされますが、膵臓の働きがかなり低下すると、痛みはかえって弱くなることもあります。
「慢性膵炎」が疑われる場合には、症状や生活習慣の聞き取りに加え、血液検査、腹部超音波検査、CT、MRI、内視鏡を使った膵管の検査などを組み合わせて診断します。「急性膵炎」と対照的に「慢性膵炎」では通常は血清アミラーゼやリパーゼ値の著明な上昇は認められないとされ、多くの場合空腹時血糖の上昇があります。より早い段階で診断・治療を行うため、画像検査などを用いて「早期慢性膵炎」を見つける取り組みも大切とされます。
治療の目的は、痛みを和らげ、膵臓のこれ以上の傷みを防ぎ、消化や血糖のコントロールを保つことです。脂肪便などに対する治療としては、膵酵素補完療法が行われます。これにより、ある程度の下痢や脂肪の消化吸収不良が改善し、体重の増加も期待されます。痛みに対しては、鎮痛薬や膵液の流れをよくする薬を用います。胃の排出機能が低下している場合は、消化管運動を調整する薬剤で胃排出能を保つようにすることで、痛みが軽減される場合があります。また、膵臓の内分泌機能が低下して糖尿病を合併した場合には、通常の糖尿病と同様に、食事療法や経口血糖降下薬、インスリンなどによる血糖コントロールを行います。内科的治療で痛みがコントロールできない場合や、膵石、膵管の強い狭窄、膵仮性嚢胞、胆管狭窄などの合併症がある場合には、内視鏡や手術による治療が検討されます。内視鏡的治療では、内視鏡を使って膵管の狭い部分を広げたり、ステントを留置したり、体外衝撃波で膵石を砕く治療を行います。それでも強い痛みが続く場合や、合併症が重い場合には、膵頭十二指腸切除術や膵体尾部切除術などの外科手術が選択されることもあります。これらは専門施設で経過を見ながら慎重に適応を検討します。「慢性膵炎」において症状の進行を抑えるために生活習慣の見直しも大切です。アルコールが原因の場合は、完全な禁酒が基本になります。少量でも膵臓への負担となるためです。また、喫煙も「膵炎」の悪化や「膵がん」リスクに関係するとされ、禁煙が推奨されます。食事では、脂肪の摂取を控えめにし、少量ずつ回数を分けて食べることで膵臓への負担を減らします。
「自己免疫性膵炎」は病因に自己免疫機序が関与すると考えられる稀な疾患です。「原発性硬化性胆管炎」や「関節リウマチ」、「シェーグレン症候群」、「潰瘍性大腸炎」など他の自己免疫的病因によると推測される他の疾患とも関連します。中高年の男性に多いとされます。症状は軽度でその大半は腹痛で急性膵炎発作は稀とされますが、体重減少や糖尿病の新規発症も起こりえます。検査では採血データで肝機能障害(血清アルカリフォスファターゼ優位の上昇など)が一般的です。「自己免疫性膵炎」の多くでは、免疫グロブリンの一つである“IgG4”が高くなっていることが特徴で、“IgG4関連疾患”と呼ばれる病気の代表例とされています。多くはステロイド薬を用いた治療が基本となり、症状や再発のリスクに応じて、少量のステロイドを続けたり、免疫を調整する薬を併用したりすることもあります。膵臓の機能低下が認められる場合には、「慢性膵炎」同様に膵酵素薬や糖尿病の治療が必要になることもあります。
膵臓にできる悪性の腫瘍を「膵臓がん」と呼びます。膵頭部(膵臓の最も十二指腸寄りの部分)に好発し、診断時に進行している場合が多いため、早期発見が治療の上でとても重要です。高齢者に多いとされ、喫煙が最も関連の強い危険因子とされています。その他に関連する疾患としては、「慢性膵炎」や「糖尿病」があげられます。膵臓がんの多くで、がんの発生と進行に関わる代表的な遺伝子に異常が見つかっていることから、“偶然起こる遺伝子の異常”が重なって発症する場合もあると推測されています。
膵臓がんは、初期には自覚症状がほとんどないことが多く“これが出たら必ず膵がん”という決め手が少なく、気づきにくいのが特徴です。比較的多くみられる症状としては、次のようなものがあります。
膵臓がんが疑われる場合、次のような検査を組み合わせて診断や進行度の評価を行います。
おなかの痛みは、誰にでも起こる決して珍しくない症状ですが、重篤でなく内服薬などで改善する一時的な腹痛から、臓器障害が生じ入院や手術など緊急の対応が必要な疾患まで原因は様々です。腹痛の中でも特に注意が必要な症状には主に次のような場合があります。該当する場合は、食事や飲水をいったん止めて早めに受診しましょう。
急な症状でなくても、徐々に悪化して改善しない腹痛・胃痛で、さらに体重減少や微熱が持続する場合も精密検査が必要です。
胃痛とは、みぞおちのあたりに現れる痛みのことです。「キリキリ痛む」「シクシク痛む」「ズキズキ痛む」「キューっと痛む」「鈍い痛み」など、痛みの表現は様々です。また、原因となる病気によって痛みを感じるタイミングや強さも異なります。
下記のような胃痛あった場合にはお早めに当院までご相談ください。
軽い胃の不調から命に関わる重大な病気まで、さまざまな疾患で起こります。「狭心症・心筋梗塞・大動脈解離」など心臓血管疾患、「急性胃炎・胃潰瘍・逆流性食道炎」、「急性膵炎」や「膵癌」などの膵疾患、「胆石症、急性胆のう炎・胆管炎」などの胆道疾患なども考えます。特に症状が強い場合や、持続的で改善しない場合、食欲低下や体重減少・貧血など全身症状が伴う場合は、早めにご相談下さい。問診・診察に加え、血液検査や腹部エコー、心電図、などを行い、原因を丁寧に調べていきます。必要に応じ、内服治療や生活習慣の見直しを含めた治療を行い、より専門的な検査や治療が必要な場合には、連携医療機関へご紹介いたします。
胃が重い・胃が張って苦しいなど、消化が進まず胃にたまった食べ物が、不快感を起こしている状態を「胃もたれ」と言います。吐き気なども胃もたれと感じるケースがあります。油っこいものや甘さの強いものを食べ過ぎて起こることもあり、日常的に起こりやすい症状ですが、萎縮性胃炎などの疾患の症状として起こっていることもあります。便秘が悪化しその影響で症状出ている場合は、便秘の治療も同時に必要になります。
胸焼けとは、胸部や喉に感じる灼熱感(その部分が熱く燃えているような感覚)や不快感をいいます。主に胃酸が食道に逆流する胃食道逆流症で起こるとされます。胸焼けは、一過性のものであったり、慢性的に発生したりすることもあります。下部食道が胃酸の逆流にさらされ炎症が長期間続くと食道腺がんが発生するリスクが高まるとされます。症状が続く場合は内視鏡検査を受けましょう。症状が軽度でも、胃食道逆流症を以前指摘された方は下部食道の粘膜が変化していないか定期的に内視鏡検査を受け確認すると安心です。
吐き気が何日も続く場合、単なる体調不良ではなく、消化器系の病気や感染症、全身の不調が背景にある可能性があります。特に食欲の低下や腹痛・便秘の悪化・体重減少など他の症状を伴う場合は注意が必要です。原因を見極めるためには、消化器内科での検査・診察が必要になる場合もあります。受診の際は過去の検診結果も参考になりますので、お持ちください。
下痢が続くと誰しもが外出を控えなければならないなど、生活に支障をきたします。腹痛が伴わない場合から、冷や汗を伴う転がり回るようなひどい腹痛が生じる場合もあります。また、食事や水分が十分に摂れないなど脱水を引き起こし、全身状態の悪化をきたす場合もあり、一日10行を超えるような重症下痢や持続的な下痢、嘔吐のため飲水が出来ない状態を伴う場合では、点滴などによる治療や対処が必要になります。突然発症する下痢の多くは急性胃腸炎とされ、最も多い原因では感染性腸炎とされます。冬場ではノロウイルスやロタウイルスによる流行性の腸炎もあります。何らかの感染による一時的な下痢であれば、症状悪化のピークは1~3日程度で、多くは2週間を超えずに体調が回復傾向となります。下痢は身体を整える腸内細菌叢による防御システムが働き“不要な侵入者”を排除する動きとも取れます。当院では、急性胃腸炎・感染性腸炎について無理に止めようとするのではなく、腸内細菌叢を整える・脱水を補正する・腹痛など消化器症状を和らげる治療を行うことを目的とし、投薬や生活指導を行っていきます。2週間を超えて続く慢性的な下痢の場合は、原因の検索を検討する必要のある疾患が隠れている可能性も考えられますので、下部消化管内視鏡検査を検討します。潰瘍性大腸炎やクローン病などの慢性的に下痢を生じる疾患が検出されず、「過敏性腸症候群」と診断される場合にも効果的な治療薬があります。どんな下痢でもお悩みの際は、まずはご相談下さい。
便秘が続くと、お腹の張りや不快感・時には腹痛・スケジュール調整の困難など、日常生活に影響を与えることがあります。「たかが便秘」と放置しがちですが、自己判断での誤った治療法でかえって便秘が慢性的となり、改善が難しくなる場合があります。
特に“アントラキノン誘導体薬”は植物由来の成分を元に作られた緩下剤ですが、長期連用で腸内神経叢のダメージが生じ、大腸蠕動運動の低下や消化管の弛緩・拡張などが増悪することが指摘されています。“アントラキノン誘導体薬”にはセンノシド(センナ由来)、ダイオウ、アロエなどがあり薬局でも手軽に手に入りますが、使用は一時的な場合にし、長期に管理が必要な場合は非刺激性の薬剤を選択するようにします。近年は便秘の長期的管理に向け、状態や年齢・腎機能などに応じて選べる様々な作用の下剤が登場していますので、より良いコントロールをご希望の方は、お気軽にご相談ください。漢方薬ではダイオウ(大黄)を含まない大建中湯が有効な場合もあります。女性医師が対応しますので、話しにくいことでも遠慮なくおっしゃってください。
その他、順調だった便通が悪化する・症状の改善が乏しい・腹痛や血便が伴う・大腸がん検診で便潜血が陽性になるなどの普段と違う便通の状態になった場合は、便秘の裏には病気が隠れていることもあるため注意が必要です。大人の便通異常にはきちんとした検査が必要になる場合がありますので、治療や生活習慣の改善にも関わらず症状が改善なく悪化していると感じる場合は、早めに消化器内科で相談してください。
食欲不振は、消化器系の病気や甲状腺機能低下症や副腎不全などその他の全身的な病気が原因で現れることがあります。胃痛など消化器症状を伴う場合や食欲改善を目指して治療を行ったにもかかわらず症状が改善しない場合には、まず消化器疾患の鑑別のための精密検査を検討します。胃や大腸の消化管疾患以外にも肝臓・膵臓など他の臓器に原因がないか精査を追加することがあります。
食欲不振や体重減少は、体のSOSサインとも言えます。甲状腺機能低下・副腎不全による低ナトリウム血症・高マグネシウム血症・亜鉛低下症・うつ病・血液疾患や悪性腫瘍・COPD(慢性閉そく性肺疾患)・腎不全・夏バテなども食欲低下の原因になります。消化器疾患に該当する原因が無い場合は、総合的に検査を進める場合もありますので、ご心配な症状が続く場合はお気軽にご相談ください。
つわりは、妊娠初期に多くの女性が経験する症状で、吐き気や嘔吐、食欲不振などの消化器症状が中心です。胃の内容物の排出が遅れ、胃もたれや吐き気を引き起こすことがあります。脱水や栄養不足が懸念される場合は、点滴などの対応が必要になることもあります。食事は無理のない範囲で少量ずつ分けて摂ることや、刺激の少ない食品を選ぶことが勧められます。どうしても辛い場合は、症状に併せて少量の漢方薬で治療を行う場合があります。
“黄疸”は病名ではなく症状の一つです。血液の中に「ビリルビン」という黄色い色素が増えることで、皮膚や白目が黄色くなる状態のことをいい、さまざまな原因によって生じ、必ずしも肝臓の病気だけが原因とは限りません。「急性肝炎」や「慢性肝炎・肝硬変」などの肝臓の病気では、肝臓そのものの働きが落ちることで起こる“肝細胞性黄疸”が中心で、ビリルビンを処理できなくなり、血液中にたまって“黄疸”として現れます。その他に、「胆石」や「胆のう炎」、「胆管炎」、「胆道がん」など胆管がつまる病気、膵臓の病気による胆管の圧排や閉塞による“黄疸(閉そく性黄疸)”、赤血球が壊れやすくなる病気による“溶血性黄疸”が原因となるとされます。原因によって、治療の方法や緊急性が異なりますので、治療方針決定のために原因を調べることが大切です。
“黄疸”がどの臓器が原因によるかの診断は、血清ビリルビン値の詳細で確認します。“肝細胞性黄疸”や“閉そく性黄疸”の場合は、直接(抱合型)ビリルビンが高く、ALPやγ-GTPなど胆道系酵素の異常が経過中伴いやすいことが特徴です。一方で“溶血性黄疸”は、間接(非抱合型)ビリルビンが優位に上昇し、貧血、網状赤血球の増加、LDH高値などが見られることが多くなります。血清ビリルビン値が2.5㎎/dl未満では“黄疸”は分かりにくく、顔や眼球が黄色くなる前に尿の色が濃くなって気が付かれることがあります。進行すると体のかゆみ、全身のだるさ、食欲低下なども出現することがあります。
当院では、“黄疸”が疑われる場合にまずは問診を行います。主に受診までの経過や既往歴、最近の体調変化、薬やサプリメントの服用状況、飲酒習慣、家族歴などです。次に診察を行い、皮膚や眼球(白目)の色、眼瞼(まぶた)の貧血の有無、腹部の聴診や触診によってお腹の張りや痛み・腸の蠕動の強弱、発熱の有無などを確認します。当院では当日に“貧血”や“炎症”の度合いは確認できますが、“黄疸”の元である血清ビリルビン値の詳細は確認できません。緊急性のある明らかな“黄疸”の場合や、直近の検査で緊急を要する異常値が認められる場合は、すぐに連携医療機関へご受診して頂くように致します。経過観察が必要な場合は血液検査を行い、血球数や肝機能、ビリルビン値、LD値の測定。腹部超音波検査などを実施し、肝臓や胆道(胆のうや総胆管)・膵臓など周囲の臓器の状態を評価します。
“残便感”は、排便をしたあとでも“まだ便が残っている、出し切れていない”などのように、“すっきり出ていないように感じる”状態のことです。医学的には“不完全排便感“”とも呼ばれ、「便秘」の症状の一つとして扱われます。
“排便困難”とは、便意はあるのに排便までに時間がかかる、強くいきまないと出ないなど、“便を出しにくい状態”を指します。“残便感”や“排便困難”の原因には、疾患はなく食生活習慣や加齢が影響している場合と、便が出にくくなるような疾患があり原因になっている場合があります。また、咳止めや腹痛止めで使われる“抗コリン剤”やメンタルクリニックから処方されることの多い“向精神薬”、その他「鉄欠乏性貧血」の治療で使われる“鉄剤”の内服でも症状が出る事があります。便そのものの影響も関与することがあり、便が硬く小さくなり、水分が少ない、量が少ないなどでスムーズに出にくい便秘につながるような場合が考えられます。大腸の動きが悪くなる場合では、加齢や運動不足、自律神経の乱れ、不規則な食事やストレス、他の疾患の内服薬の影響などが影響する場合があります。また肛門・直腸の問題で、「痔核」や「脱肛」などで、便が通過しにくくなり残りやすくなった時や、骨盤底筋の協調運動の乱れが影響して、力の入れ方がうまくいかず、便をうまく押し出せないなどで症状が悪化する場合があります。
便が出にくくなるような疾患として、主に40代以降の成人では、「大腸がん」「大腸ポリープ」などの病気の除外は大切です。症状が持続し改善しない、日に日に悪化する際は通過障害を起こしてしまうような腸の器質的疾患が隠れていないか、精密検査を受ける事を検討しましょう。“残便感”や“排便困難”の精密検査では、多くは下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)が検討されますが、明らかな通過障害が疑われる場合、内視鏡検査前の処置としての下剤内服が安全に行えるのか判断が必要です。その際は、先に超音波検査や腹部CT検査などが行われます。“残便感”や“排便困難”については、丁寧な問診を行い症状の持続期間や腹部所見などと総合的に判断し治療を行っていくとともに、精密検査が必要な場合は地域の基幹病院や連携医療機関へすみやかにご紹介いたします。
便がいつもより細く見え、その状態が続く時は、“腸の内腔=通り道”が狭くなっている場合があります。大腸の内側が狭くなって通過障害が生じていると、その狭窄箇所を通る時、便が細くなります。狭いところを硬い便が通過する時には腸の運動に併せて腹痛が起きたり、通過障害が長引いて便が腸に引っかかったりするとお腹が張ったりする(腹部膨満感)こともあります。大腸の内腔が狭くなる原因に「大腸ポリープ」や「大腸がん」が大きくなって通過障害を起こしている場合があります。便が柔らかい状態で通過する“上行結腸~横行結腸~下行結腸”の内腔の狭窄では、便が細くなることは少ないと考えられますが、便から水分が吸収され便が固くなってから通過する“S状結腸”や“直腸”にできた病変では、便の形が変化して通過するため便が細く見えることがあります。また、腸の炎症のあとに狭くなっている場合があり、「大腸炎」や「大腸憩室炎」の治ったあとで、腸の一部が狭くなり腸の柔らかさがなくなるため、通過する便が細くなると考えられます。
その他の原因に、過去にお腹の手術をした影響や周囲の臓器の腫れや腫瘍の影響が関与する場合があります。術後の影響では、手術操作や疾患により腹腔内で炎症がおこり消化管の癒着生じた結果、腸が引っ張られたり曲がったりして通過障害が発生するとされます。「腹膜炎」など腹腔内全体の炎症が強く起きた時は、腸が固定されて全体的に動きにくくなってしまうこともあります。また大腸以外の周囲の臓器の腫れや腫瘍が腸を外側から押す場合でも、便が細く変化する可能性もあります。女性では“S状結腸”に近い部位にある「子宮筋腫」が大きくなることがありますし、その他の婦人科疾患の炎症や術後の影響でも腸の走行に影響が出る事があります。検査をして腸の中に病変がなくても、便の状態や腸の動きの変化で細く見える場合があります。便が柔らかく形を作れない状態(下痢気味や水分の多い便)では、便が固まりにくく細く見えます。また、過敏性腸症候群などストレスが関与し大腸がけいれんするような状態の結果、便が押しつぶされるように通り、細く見えることがあります。
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