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“診療ガイドライン”について

医師が診察するにあたっての指針・マニュアルとなるものに、“診療ガイドライン”というものが存在します。

「糖尿病の合併症を防ぐために、HbA1c 〇%未満を目指しましょう」「血圧 〇 mmHg以上が続いた場合は、お薬を飲んだ方が良いです」とお話することがあります。これは決して個人の感覚で数字を決めて伝えているのではなくて、多くの研究データをもとに作られた診療ガイドラインの内容をお伝えしているのです。そして、新しい治療や研究が行われ、データが蓄積されることで適切な治療目標や治療内容などが変わってくることがあるため、このガイドラインは数年で定期的な改訂が行われます。

私が普段診察している糖尿病患者さんは、他の生活習慣病を合併することが多いため、糖尿病・高血圧・脂質異常症などのガイドラインの内容や改訂事項に詳しくなるよう努めており、最新の知見をもとに適切な診療を提供していきたいと感じています。

しかし、ときにガイドラインと患者さん一人ひとりの幸福が対立することがあります。「(ガイドラインで言われている)目標血糖を達成するには薬を増やさないといけないのは分かっているけどこれ以上、薬が増えると負担になってしまう…」このような、お話をされる患者さんは日常診療で多くいらっしゃいます。勿論マニュアルに沿うことは重要ではありますが、患者さん一人ひとりの考え・要望をしっかり受けとめ、診察の中で何が正解かを一緒に考えていくことを大事にしていきたいと思っています。

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