腎臓・内分泌内科
腎臓・内分泌内科

腎臓病の初期には殆ど症状はありません。健康診断の結果で腎機能低下や血尿・タンパク尿を指摘された時は、まずは腎臓内科を受診します。また、浮腫(むくみ)や高血圧が続き、腎機能に異常がある場合にも診療します。軽度の尿検査異常から、腎炎、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、腎硬化症、急性・慢性腎不全、膠原病などに伴う腎障害、腎性貧血、電解質異常(カリウムやカルシウム異常など)などについてご相談にのります。eGFR(推算糸球体ろ過量)が60を下回る、または正常範囲異常の尿蛋白が続く状態は慢性に腎臓の機能が低下した慢性腎臓病(CKD)といいますが、その原因には様々なものがあります。なかでも生活習慣病(糖尿病、高血圧など)や慢性腎炎は代表的で、近年、CKDは誰もがかかる可能性のある新たな国民病といわれています。腎臓病は目立った自覚症状がないことが多い一方で、早期に発見され治療など介入が行われれば、透析導入を回避したり遅らせたりする事が出来る可能性があります。早期発見がとても重要です。尿検査や尿の見た目の異常、健康診断でのeGFR(推算糸球体ろ過量)値の低下、むくみや高血圧が長く続くなどの症状があれば、放置せずに受診いただくことをお勧めします。
日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることがあります。上記のような症状があれば、放置せずにお気軽にご相談ください。
慢性腎臓病とは、腎臓の働き(eGFR)が健康な人の60%以下に低下するか、あるいは正常範囲を超えたたんぱく尿が出るような腎臓の異常が3か月以上続く状態をいいます。
CKDの原因は多岐にわたりますが、特に多いのは以下のものです。
年をとると腎機能は低下していくため、高齢者になるほど慢性腎臓病が多くなります。高血圧、糖尿病、脂質代謝異常(コレステロールや中性脂肪が高い状態)、肥満やメタボリックシンドローム、高尿酸血症(尿酸値が高い状態)、家族に腎臓病の方がいる場合は注意が必要です。喫煙も、慢性腎臓病を悪化させる大きな因子です。さらに、慢性腎臓病は心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になっています。慢性腎臓病は腎機能が20%位まで低下しないとはっきりした症状は出てきません。血液検査でクレアチニン(Cr)の値から検出されるeGFR(推算糸球体ろ過量)値という指標が60%以下に軽度に低下した状態ではほとんど症状はありません。検診結果で異常があっても症状がないからといって安心はできません。日本人を含むアジア人は欧米人に比べ、ネフロン(濾過などを行う重要な組織である糸球体)が少なく腎機能が脆弱であるとされています。まずは検診を受けて、eGFR(推算糸球体ろ過量)値という指標を確認するとともに、血圧や血糖値・コレステロール値・中性脂肪などの検査結果に異常がないか調べることが大切です。尿検査で尿たんぱく、尿潜血反応陽性を指摘された場合にも、放置せずに外来を受診して、腎臓に関係する病気がないか調べておきましょう。また、前回の検査より急激に腎機能低下が進んでいる場合は、早急に対応が必要とされます。eGFR(推算糸球体ろ過量)値の推移については、常に前回の結果と比較することも大切です。
当院では火曜日午前(受付9時半~12時半)に腎臓専門医が外来を行っております。女性医師なので、お手洗いのお悩みなど腎尿路系についてのお話にくいことでも安心してご相談頂けます。腎臓内科外来では、まず本当に継続して腎機能が低下しているかを確認します。健康診断の際に発熱・感冒など体調が悪かったり、直前に腎機能に影響を及ぼすような内服薬や激しい運動を行ったりした場合では採血検査の結果や尿蛋白の検出結果に影響があるためです。また夏場に受ける健康診断で脱水の状態ですと、見かけ上血液検査でクレアチニン(Cr)の値から検出されるeGFR(推算糸球体ろ過量)値が低下していることがあります。腎機能の指標用いられるeGFR(推算糸球体ろ過量)値は血清のクレアチニン値から算出され、これは筋肉量の影響を受けます。そのため、筋肉量の豊富な方や筋肉トレーニングを日常的に行う方では、血清クレアチニン値が上がりeGFR(推算糸球体ろ過量)値が下がって検出される一方で、筋肉量の少ない方ではeGFR(推算糸球体ろ過量)値が実際よりも高く算出され、正確に評価できない場合があることも指摘されています。腎機能検査の再検査は体調の良い時に受けるとともに、シスタチンC値を測定することも時に必要です。シスタチンCはクレアチニンと同様に腎機能評価に用いられる検査項目の一つですが、筋肉量の影響を受けにくいという特徴があります。そのため、クレアチニン値だけでは腎機能が正確に評価しにくい場合に、補助的に用いられることがあります。腎臓内科外来では、これらの検査と尿蛋白量の測定などから慢性腎臓病CKDのステージを確認し、治療方針の決定に役立てます。
学会ガイドラインで5つのステージと3つのリスク分類に分けられます。ステージが進むほど、腎臓の機能が低下していることを意味します。

慢性腎炎は、慢性腎臓病(CKD)の主要な原因の一つです。「慢性腎炎」と「慢性糸球体腎炎」は、ほぼ同じ意味で使われます。複数の種類がありますが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。
慢性腎炎の診断には、尿検査で蛋白尿や血尿の有無を確認したり、血液検査でeGFR(推算糸球体ろ過量)値のよる腎機能などを評価したりします。確定診断には入院の上で腎生検が必要になる場合もあります。
治療は病気の進行を遅らせ、末期腎不全・透析導入への移行を防ぐことが目的です。具体的には、原因に応じた薬物療法(免疫抑制剤など)、食事療法、血圧コントロールなどが行われます。
蛋白は正常な状態ではほとんど尿中に排泄されませんが、腎臓の病気や他の健康問題が存在する場合には、尿中に蛋白質が排出されることがあります。尿蛋白は一般に「タンパク尿」と呼ばれ、腎臓病の進行や他の健康問題のサインとして重要な指標とされています。なかでもネフローゼ症候群は、腎臓のフィルター機能がうまく働かなくなり、体に必要なタンパク質が大量に尿中に漏れ出してしまう病気です。その結果、血液中のタンパク質が減少(低タンパク血症)し、むくみ(浮腫)が起こります。
以下の4つの項目すべてを満たす場合に診断されます
原因が特定できない「一次性(特発性)ネフローゼ症候群」と、他の病気が原因で発症する「二次性ネフローゼ症候群」があります。
糖尿病性腎症、ループス腎炎、アミロイド腎症、紫斑病性腎炎(IgA血管炎)などの全身性疾患や、感染症、悪性腫瘍、薬剤などが原因となることがあります。
ネフローゼ症候群のように大量でない場合でも尿蛋白が続く場合には、主な原因として以下のような疾患との関連を考えます。
どちらも尿路感染症の一種ですが、感染が起こる部位が異なります。
膀胱炎は、尿をためる臓器である膀胱に細菌が逆行性に感染して炎症が起きた状態です。発熱を伴わない事が大半です。主な症状は、排尿時に痛みがある(排尿時痛)・何度もトイレに行きたくなる(頻尿)・排尿に行った後も尿が残っているような感じがする(残尿感)・尿が濁る、血が混じる(血尿)・下腹部の不快感や痛みなどです。悪化要因として、冷え・ストレス・過労・脱水・トイレに行きにくい環境で排尿を我慢してしまう状態・性行為なども発症のきっかけとなることがあります。治療は悪化要因を避けるとともに、抗生剤の内服薬が中心です。内服はしっかりと飲み切ることが大切です。膀胱炎になってしまう状態や過労を改善する事もとても重要で、温かくして過ごし脱水の補正のために水分はカフェイン・アルコール以外を摂取しましょう。膀胱炎に伴う頻尿を減らそうとして飲水を控えてしまうと悪化してしまい逆効果です。
腎盂腎炎は、尿道から細菌が腎臓の一部である腎盂と腎臓自体に達して炎症が起きる病気です。膀胱炎よりも重症で、悪化により菌血症や細菌性のショックなど全身症状を伴うことがあります。症状としては、悪寒・戦慄(強い寒気とふるえ)に続いて38℃以上の高熱になり、左右差のある背部痛を伴うことが多くあります(殴打痛)。だるさなどの全身状態の悪化に伴い、吐き気や嘔吐が出る場合もあります。細菌の逆行性感染(大腸菌が多い)が原因で多いとされますが、腎臓結石や尿管の通過障害などが原因で起こる場合があります。 糖尿病など基礎疾患があり免疫力が低下している方、妊娠中の方・出産直後の方などは重症化しやすい傾向があります。治療は抗生剤の点滴や内服が中心となります。重症度によっては全身管理のために入院が必要になることもあります。症状が改善しても自己判断で中断せず、医師の指示に従って感知するまで治療を続けることが大切です。再発を繰り返さないためには、膀胱炎同様に過労やストレスを避け、冷たくない水分を十分に摂取しましょう。睡眠もしっかりとるようにしましょう。また、尿が膀胱内に停滞することで細菌が繁殖しやすくなるため排尿は我慢しないようにしましょう。シャワーや入浴をきちんとし、身体は清潔に保つようにしましょう。発熱があっても、咽頭津や咳・痰・鼻汁などの感冒症状が無い、下痢や腹痛・嘔吐などの消化器症状が無い場合は、腎盂腎炎かもしれません。腎盂腎炎は敗血症性ショックを起こしたり腎臓にダメージを与えたりする可能性もあるため、早期の診断と治療が特に大切です。
血液の成分の一つである赤血球が尿に混ざる状態のことを指し、膀胱炎などの尿路感染症の他でも尿路結石・腎尿路系の悪性腫瘍などで認められます。血尿は尿をつくる腎臓や腎臓から膀胱への尿の通り道、膀胱、尿道のどこかに何かしらの疾患があり生じることがあります。健康診断や検診で血尿を指摘された場合、目に見えて明らかに尿が赤かった場合は受診を検討して下さい。尿検査では沈査検査(尿中の変性した細胞の確認)・尿細胞診(がん細胞の有無を調べる)を精密検査として行い、必要に応じ腹部超音波検査や造影CT検査などの画像診断を追加します。
通常尿は腎臓で作られ、腎盂・尿管を通って膀胱に蓄えられ尿道から排泄されます。
血尿がある場合は、この経路のどこかに原因がある可能性があります。
腎不全で急激に腎機能が低下し、体内の老廃物や水分の排泄が困難になる状態を指します。急性腎不全は腎機能を悪化させる原因を早期に取り除くことができれば、腎機能が回復する可能性があります。症状としては、急に尿の出が悪くなったり、全く出なくなったりします。急性腎不全の原因は多岐にわたりますが、腎臓の障害が起こる場所によって大きく3つに分類されます。
腎臓自体に問題があるのではなく、腎臓への血液の流れが低下することで起こります。
腎臓自体に直接的な障害が起こることで発症します。
腎臓で作られた尿の通り道(尿路)が閉塞することで、尿が排出されなくなり、腎臓に負担がかかることで起こります。
腎臓から尿道につながる尿路にできる結石は、生じる部位によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けられます。結石が腎臓内にあるうちは、特に症状はありませんが、尿管に落ちてくると突然、わき腹や下腹部、腰の後ろ側などに刺し込むような激痛が起こり、発熱や吐き気、嘔吐を伴うこともあります。また、腎臓の機能が低下したり、炎症を起こしたりする場合もあります 。数ミリの小さい結石であれば、水分をたくさん摂って尿量を増やし、自然に結石が排出されるのを促します。薬剤を使う場合もあります。尿中のシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどの成分が結晶化し、固まってできたものが原因となっている事が多いため、尿をアルカリ性にして結石を溶かす薬(尿酸結石の場合)なども処方されます。
大きな結石や、自然排石が難しいと考えられる場合には、体外衝撃波結石破砕手術(ESWL)やレーザー砕石器などを用いた内視鏡手術が行われます。一度結石ができた人は、再発しやすい傾向がありますので予防が大切です。脱水になると濃縮尿となりミネラル成分も停滞し、結石の排出も悪化しますので、飲水は十分に行い尿量を増やすようにしましょう。その際、カフェイン・アルコール以外の飲み物を選びましょう。三食の食事にはおよそ1500mlの水分が含まれるとされますが、体調管理の上では食事以外に1500~2000ml(体格や環境により異なります)程度の飲水が必要とされます。心不全や腎不全で飲水量に制限がある方は、主治医に確認して1日の水分摂取量を決めましょう。また、バランスの取れた食事も大切で、 過剰な動物性タンパク質、塩分、シュウ酸を避けると良いでしょう。その他、長時間同じ姿勢を続けるのを避け、毎日適度な運動を取り入れましょう。健康診断などで、定期的に尿検査や腹部超音波検査を受けるようにして早期発見につなげることも体調管理の上で有効です。結石は激しい痛みを伴うことがありますが、適切な治療と予防で健康を維持できます。症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
腎臓、膀胱、尿管、前立腺は、尿を作る器官や尿の通り道となる器官であり、これらの部位にがんが発生することがあります。尿潜血や血尿、腎機能低下をきっかけに精密検査により見つかります。治療は泌尿器科が担当しますので、連携する医療機関へご紹介いたします。
むくみは体内に余分な水分がたまり、足や顔、手に腫れや重だるさが出る症状です。腎臓は体の水分・塩分バランスを調整する臓器ですが、機能が低下すると水分をうまく排泄できず、むくみが生じやすくなります。放置すると心臓や肝臓にも負担をかけるため、早めの診察が必要です。
腎臓病(慢性腎臓病・ネフローゼ症候群)、心不全、肝疾患など臓器疾患が原因である場合では、高血圧や糖尿病など生活習慣病が関与することがあります。また、薬剤の副作用や甲状腺機能の低下などホルモン異常・代謝異常もむくみの原因となるため、採血検査も必要になります。その他、飲水量が多すぎる(水中毒)場合や塩分摂取量が多すぎる場合、栄養状態が不良な低たんぱく血症もむくみの原因になります。疾患が無い場合では、月経前の黄体期に女性がむくみやすくなります。
頻尿は日中や夜間の排尿回数が増える症状で、排尿時の痛みが加わる場合は尿道の炎症や感染が疑われます。感染や炎症では膀胱や尿道への刺激で膀胱に尿が溜まりにくくなり(膀胱刺激症状)、何度もトイレに行きたくなります。排尿時の不快感も続き、生活の質を大きく下げるため早めにご相談下さい。
最も多い原因は膀胱炎や尿道炎などの感染症です。そのほか、男性では前立腺肥大症や前立腺炎、女性では過活動膀胱が関与することもあります。過活動膀胱は膀胱に十分に尿が貯められない状態(畜尿障害)ですが、似たような頻尿を生じる状態で神経因性膀胱があります。膀胱に常に尿がたまっており、排尿が出来ない状態を指します(排尿障害)。診断には膀胱エコーが有効で、残尿測定で残尿が認められた場合は神経因性膀胱と診断されます。排尿障害や膀胱刺激症状による頻尿は、膀胱がんや尿路結石が原因となることもありますので、症状に併せて適切に検査を進めて行く事が大切です。
尿の泡立ちは一時的な脱水や勢いの強い排尿でも見られます。また、便器内に洗剤成分が残っていたり、尿路洗浄剤の成分が尿に混じったりすることで、泡立ちが助長されることがあり、尿温と便器内の空気の温度差によって泡立ちやすくなることがあります。
ですが、泡が長時間消えない場合は異常のサインの事があります。特にたんぱく尿は腎臓のろ過機能障害を反映し、慢性腎臓病や腎炎の早期症状として重要視されます。いつもより、尿の泡立ちが気になる時は受診して尿検査を受けましょう。一般的な項目は院内の迅速検査ですぐに確認できます。
以下の病気による可能性が考えられます。
腎臓のフィルター機能がうまく働かず、血液中のタンパク質が尿中に漏れ出ることが原因で、タンパク質が界面活性剤のような働きをして泡立ちやすくなります。慢性腎炎、糖尿病性腎症、高血圧、ネフローゼ症候群など、様々な腎臓病で蛋白尿が見られます。特に、慢性腎臓病(CKD)の重要なサインの一つです。
細菌感染により尿中に白血球や細菌、粘液などが増えることで、尿の成分が変化し泡立ちやすくなることがあります。 蛋白尿による泡立ちほど持続的ではないことがほとんどですが、他の排尿症状(頻尿、排尿痛など)や尿の濁りを伴うことが多く認められます。
血糖値が高い状態が続くと、腎臓の微量のアルブミン(タンパク質の一種)が尿に漏れ出す糖尿病性腎症を発症することがあります。高血糖が腎臓の中にある糸球体内の細かな血管を傷つけ、機能障害が起こるためです。また、尿中に糖が多く含まれる(尿糖)と、尿の表面張力が変化し、泡立ちやすくなることがあります。
いずれも、腎臓病の進行サインの可能性があるため、早めの検査と生活習慣の見直しが必要です。
通常の尿は淡い黄色で、特有の軽いアンモニア臭があります。赤色や茶褐色の尿、異常に濃い臭いがある場合は疾患の可能性があります。血尿や混濁尿は腎臓や膀胱の病気を示すこともあり、早期に受診することが望まれます。
膀胱炎や腎盂腎炎などの感染症、尿路結石や泌尿器がんが原因で血尿や異常な色調が現れます。肝疾患によっても茶色い尿になることがあり、食べ物や薬の影響による変化も考えられます。
内分泌疾患は、私たちの体の中でホルモンを分泌する「内分泌腺」という臓器に異常が起こり、ホルモンの量が多すぎたり少なすぎたりすることで様々な症状が現れる病気の総称です。
当院では、内分泌臓器(主に甲状腺・下垂体・副腎など)の診療に加え、代謝疾患としての脂質異常症、糖尿病などにも幅広く対応しています。気軽に相談できる“内分泌の病気のかかりつけ医”としてお役に立てましたら幸いです。
内分泌疾患で日本人に多い疾患としては、甲状腺疾患が代表的と言えます。体調不良の原因になりやすく、いずれも早期発見が非常に重要な疾患ばかりです。症状が当てはまる方や、気になることがございましたら、何でもお気軽にご相談ください。
首の前部に位置する小さな臓器で、新陳代謝を調整する甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺疾患は非常に多く見られ、特に女性に多い病気です。代表的な疾患には甲状腺機能低下症(橋本病)や甲状腺機能亢進症(バセドウ病)があります。これらの病気は、動悸・疲労感・体重変動などの症状を引き起こし、別の病気と間違われやすいことがあるため、慎重に診断を進めます。
橋本病は慢性甲状腺炎ともよばれ、甲状腺機能低下症の主な原因の1つです。甲状腺の慢性的な炎症により、甲状腺組織が徐々に破壊され、甲状腺ホルモンが十分に作られなくなると、甲状腺機能低下症を引き起こします。甲状腺の炎症により首が太くなったようにも感じます。甲状腺ホルモンはいわゆる“元気ホルモン”ですので、低下により全身の代謝が低下し、耐寒性の低下(寒がりになる)、体温低下、身体がむくんで体重が増える、疲れやすくだるい、声がかすれる、便秘傾向となる、脂質のコントロールが悪化する、脱毛が目立つようになるなどが出現します。女性では月経が不順になることがあります。また、気分が落ち込む・不安感が増す・元気が出ないなどのうつ症状が出て、精神科から精密検査を勧められることもあります。うつ病や更年期障害・脂質異常症として治療されていることもあるので、治療にも関わらず症状が続くようであれば、甲状腺ホルモンの測定をお勧めします。
甲状腺の機能低下(甲状腺ホルモンの減少)がみられない場合、原則的に治療は必要ありません。甲状腺機能低下症が認められる場合は、合成T4製剤(甲状腺ホルモン薬:レボチロキシンナトリウム)の内服を行います。昆布など海藻類に多く含まれるヨウ素の過剰摂取は、甲状腺の働きを低下させるため、過剰摂取にならないようにヨウ素の制限も必要となります。昆布の1日当たりの摂取量はおおよそ1~2cm(約1.0g)程度とされています。ヨウ素を多く含むうがい薬も過剰に行わないようにしましょう。倦怠感など甲状腺機能低下症の症状が強い場合、治療によって甲状腺ホルモンが正常に戻るまでは、あまり体に負担をかけないように心がけましょう。
甲状腺ホルモンには、全身の臓器に作用して体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする大切な働きがあります。この甲状腺ホルモンは、多すぎても少なすぎても体調が悪くなります。バセドウ病は、甲状腺ホルモンを過剰に産生する病気で、代謝が高まる(亢進する)ことで様々な症状が現れます。典型的な症状としては、暑がりになり汗をかきやすくなったり、手が震えたり、体重減少、動悸などが現れます。下痢、気持ちが落ち着かない、怒りっぽくなる、疲れやすいなどの症状を伴うこともあります。女性では月経の異常が生じることがあります。男性によくみられる症状には、炭水化物の多い食事の後や運動後などに手足が突然動かなくなる発作(周期性四肢麻痺)があります。のどぼとけのすぐ下にある甲状腺は、全体的に大きく腫れてきます。全員にみられるわけではありませんが、眼球が突出して、周りの人に指摘されたり、目が完全に閉じなくなったりすることもあります。
治療は大きく分けて、薬物療法・放射性ヨウ素内用療法・甲状腺摘出術の3つがあります。多くの場合、まず、抗甲状腺薬による薬物療法が行われます。薬物療法は少なくとも2年程度継続することが多く、それよりも長い期間の服用が必要な場合もあります。甲状腺機能が正常に保たれ、自己抗体(TRAb)の値も正常であれば、薬の中止を検討します。2年以上継続しても薬を中止できる目途が立たない場合には、放射性ヨウ素内用療法や甲状腺摘出術などの他の治療法が検討されます。バセドウ病はストレスによって病気が悪化したり、再発したりすることがあるので、日常生活では、ストレスを避けて規則正しい生活を送るように心がけましょう。
無症状のことが多いため、頸部のしこりに偶然気づいたり、検診などで指摘されたりする方が増えています。多くは良性腫瘍であり、腺腫様甲状腺腫(せんしゅようこうじょうせんしゅ)、濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)、のう胞などが含まれます。悪性腫瘍(甲状腺がん)は、乳頭がんが全体の90%以上を占めているといわれています。乳頭がんは、甲状腺から発生するがんの中で最も頻度が高く、乳頭状に増殖する特徴を持つがんです。甲状腺がんは、一般的に他のがんに比べて進行が遅く、予後が良いとされています。甲状腺に腫瘍がみつかった場合、まず、超音波検査を行い、悪性が疑われれば、精密検査として穿刺吸引細胞診を実施して良悪性を鑑別します。その場合は、伊藤病院などの専門医療機関をご紹介いたします。腫瘍が大きい場合、甲状腺のしこりや甲状腺全体に腫れが認められ、首に違和感などを生じることもあります。腫瘍から甲状腺ホルモンが過剰産生される機能性甲状腺結節では、動悸や発汗過多、体重減少などがみられることがあります。良性腫瘍であれば、原則的に経過観察となりますが、腫瘍が大きく圧迫症状が強い場合や美容上気になる場合、あるいは悪性腫瘍の合併が疑われる場合などは手術を検討します。悪性腫瘍で術後再発や遠隔転移がある場合は、手術後に放射線ヨウ素内用療法が行われます。甲状腺腫瘍は、経過とともに増大し悪性の可能性が高まってくることがありますので、良性と診断された場合でも経過観察は必ず受けるようにしましょう。
血液中のコレステロールや中性脂肪といった脂質が、正常な範囲から外れてしまう病気です。善玉コレステロール(HDLコレステロール)が低い場合も疾患として取り扱われます。
主に遺伝的素因を背景に、生活習慣が関与して発症するとされます。甲状腺機能低下症など他の病気が原因となることもあります。
食生活習慣:悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高い場合は、常温で白く固まる動物性脂肪の摂りすぎが悪化要因となります。中性脂肪が高い場合は、3つの「あ」(甘い物=炭水化物・脂っこい物=揚げ物・アルコール)の摂取が多いと生じます。全体的に過食にならないようにしましょう。
運動不足では、消費カロリーが減り、脂肪が蓄積しやすくなります。
治療が必要な脂質異常症の場合は、家族性高コレステロール血症のように、遺伝によって脂質異常症になりやすい体質が多いとされます。
血糖コントロールが悪いと脂質異常症を合併しやすくなります。特に高中性脂肪血症が非常に高頻度で認められ、これは、糖尿病によるインスリン作用の低下やインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)が、中性脂肪の代謝に悪影響を与えるためとされます。
甲状腺ホルモンの働きが低下すると、コレステロールの代謝が遅くなり、血中のコレステロール値が上昇することがあります。脂質異常症の治療経過において、甲状腺ホルモンを測定する事は大切です。甲状腺ホルモンの補充療法により、コレステロール値の低下が期待できます。
ネフローゼ症候群や慢性腎臓病で脂質代謝に異常をきたすことがあります。
一部の薬剤が脂質代謝に影響を与えることがあります。
血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が慢性的に高くなる病気です。健康な人では、インスリンというホルモンが血糖値を適切に維持しており、活動を支えます。糖尿病患者さんでは、このインスリンの働きが不十分になったり、分泌が弱くなったり、分泌されなくなったりすることで、血糖値が上昇してしまいます。
出産後は改善することもありますが、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高くなるとされます。日本における糖尿病患者は、食生活習慣の変化や日本の高齢化などを原因として増加傾向です。加齢とともに耐糖能(血糖を正常に保つ能力)が低下するため、年齢が高くなるにつれて糖尿病になる人の割合が増えるとされます。初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、血糖値が高い状態が続くと、症状がないまま全身の血管や神経が傷つき、様々な合併症を引き起こすことが問題です。三大合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害)は細小血管障害ですが、それ以外でも比較的太い血管(大血管)でも動脈硬化が進行しやすくなります。これが原因で起こる病気を総称して大血管障害と呼びます。血管障害の他には、歯周病・認知症・がん・感染症など、多岐にわたる合併症で全身に影響が及びます。
治療はなるべく早く開始する事が大切です。症状がなくても、高血糖の状態が続くと合併症が生じるだけではなく、高血糖に伴う「糖毒性」により、膵臓のインスリンを分泌する能力を低下させてしまい、ますます血糖コントロールが悪化する悪循環に陥ってしまいます。糖尿病を指摘されたら、直ちに生活習慣を見直しましょう。日本人の膵機能(膵臓からインスリンを分泌する能力)は脆弱であることがしられています。自身の膵機能を超えてしまうほど食べたり、太ったりしないように気を付けることは糖尿病を悪化させない上で大切です。また、毎日の適度な有酸素運動は、インスリンの効きを良くし、血糖値を下げる効果があります。大血管障害を防ぐ大切な3つの要素は、ヘモグロビンA1c(エーワンシー)値を低く抑える・禁煙・LDLコレステロールを適正に保つこととされます。出来るだけ早く禁煙に取り組むことも重要です。当院では、血糖コントロールの指標であるヘモグロビンA1c(エーワンシー)値・血糖値・尿糖・尿中ケトン値を院内迅速検査で確認ンすることが出来ます。症状がなくても健康診断などで糖尿病が疑われた場合は、なるべく早く受診されることをお勧めします。治療や検査は、受診された方の状況に併せて相談しながら進めます。医療費高騰が叫ばれている現在、無駄に検査や治療を行わないように常に注意しながら診療を行う事をモットーとしています。また、血糖コントロールが良好な糖尿病の場合、ヘモグロビンA1c(エーワンシー)値は毎月測定する必要が無い場合もあります。検査や治療に疑問やご不安があれば、お気軽にご質問下さい。
糖尿病は、その原因によっていくつかの種類に分けられます。
膵臓のβ細胞が自己免疫の異常によって破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなる病気です。
インスリン注射による治療が不可欠です。
子どもや若い世代での発症が多いとされますが、感染症の後などで発症するなど、どの年齢でも発症する可能性があり、2型糖尿病と診断されていた方が1型糖尿病に移行する場合もあります。(緩徐進行1型糖尿病SPIDDM)
日本人の糖尿病患者の9割以上を占めるタイプです。
インスリンの分泌量が不十分になったり、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が生じたりすることが原因です。
遺伝的要因に加え、肥満・運動不足・ストレス・過食など食生活の乱れなどの生活習慣が大きく関わっています。
内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)や膵臓の病気、薬剤の使用などが原因で起こる糖尿病です。
妊娠中に初めて発見された、または発症した糖尿病です。
妊娠中に糖尿病を指摘されたことのある方は、
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